ビジネスチャットは、電子メールより手軽なうえ、多人数でのリアルタイムコミュニケーションに適していることから、社内コミュニケーション用のツールとして導入が拡大している。これに加えて、昨今は勤怠管理、スケジュール管理、設備・会議室の利用予約、資料共有、プロジェクトの進捗管理などの各種業務ツールとチャットボットを組み合わせて、業務システムのインタフェースやハブとして利用するケースも広がりつつある。
また、一部の先進的な企業ではコミュニケーションの傾向を分析・可視化し、従業員同士の人間関係の把握や業務適合判定、メンタルヘルスケアなど、人事や福利厚生に活用しようとする動きもあり、適用範囲が広がっています。
反面、市場の成長の足かせとなる要因としては、価格競争による製品・サービスの低価格化が進んでいるほか、製品の淘汰、コラボレーション・スイートの一機能として提供されているものを利用する企業の増加などがあげられる。これらのことから、同市場のCAGR(2017~2022年度)は32.3%、2020年度には100億円規模に達すると予測している。
ITRのシニア・アナリストである舘野真人氏は、「ビジネスチャットは、モバイルデバイスとの親和性の高さや情報発信における心理的な敷居の低さなどから、共通の目的を持つ小集団を中心に有力な情報共有ツールとして定着しつつあります。また、一部のサービスはボットによる機能拡張が可能であり、人とシステムをつなぐハブとしての役割も果たすようになっています。リモートワークに代表される柔軟な働き方が推進されるなか、ビジネスチャットは、関係者が一堂に会して知恵や意見を出し合う仮想的な場の創出も期待されており、今後に向けてさらなる普及拡大が見込まれます」とコメントしている。
今回の発表について詳しくは、ITRが発行する市場調査レポート「ITR Market View:ビジネスチャット市場2018」に掲載されている。レポートには、ビジネスチャット市場およびチャットボット市場の国内全31ベンダーへの調査に基づいた2016~2017年度売上げ実績および2022年度までの売上げ予測を掲載している。