ラックの研究開発部門である「サイバー・グリッド・ジャパン」では、情報セキュリティにおける先端技術の研究に加え、サイバー分野における啓発活動も積極的に推進している。
そして、日本全国の自治体や教育機関をはじめとする現場への啓発活動のなかで、様々な世代や立場に応じた的確な啓発がなされていないことや、学校現場においてはインターネットにおける様々なトラブルについて具体的にどのような罰則が科せられるのかといった法律的な知識についての説明や理解が不十分であるといった課題を目にしてきたという。
この指南書では、このような自治体や教育現場などにおける課題を踏まえ、サイバー上の様々なトラブルや事象についての知識水準をレベル分けし、未就学児から一般成人、さらには教育関係者や保護者といった立場別にどのレベルまで知識を習得しておく必要があるか啓発目標を明示している。
さらには、学術的根拠としてデジタル技術を適切に活用するために必要な理論や実践結果を網羅的に兼ね備え、特に法知識の向上(法教育)の視点から主な関係法令や罰則、その影響度等についても触れるなど、これまでの啓発コンテンツにはない視点を盛り込んでいる。
指南書を用いることで、インターネットを利用する際のトラブルを未然に防ぎ、あるいはトラブルに遭ってしまった際も適切に対処できるようになることが期待できるとしている。
「情報リテラシー啓発のための羅針盤(コンパス)」の主な特徴
1. 発生しうるトラブルなどの事象を3分類、37項目で整理し、調べやすい形で構成
情報リテラシーに関するインシデントを「情報モラル」「情報セキュリティ」「消費者トラブル」の3つの分類に分け、37項目で整理を行っている。情報リテラシーに関するインシデントを一覧化し整理することで、啓発が必要な課題を調べやすくし、また、漏れなく抽出することが可能になっている。インシデント項目については、今後も継続して見直しを実施する。
2. 様々な世代や立場の情報リテラシー啓発に対応
啓発対象となる属性ごと (1 未就学児・小学生:1~4年、2 小学生:5~6年、3 中学生、4 高校生、5 大学・専門学校生、6 成人:一般=主に情報機器の取扱いに習熟した企業・団体等で働く社会人等、7 成人:特に高齢者等=主に情報機器の取扱いに不慣れな高齢者、8 保護者、9 教育関係者)に啓発目標を設定し、様々な世代や立場の情報リテラシー啓発に対応している。また、特定の世代や立場で、特に啓発時に注意すべき事項がある場合は、補足して解説を行っている。
3. 学術的根拠及び法教育の視点に基づいた監修を実施
指南書は様々な分野の研究者の監修を受け、デジタル技術の適切な活用のために必要な理論や実践結果を網羅的に兼ね備えた内容となっており、さらに法学研究者の監修により各インシデントについて関係する法令等にも触れ、インシデントを起こしてしまった場合の罰則や影響度等についても記載している。
■監修者(50音順)
お茶の水女子大学 坂元 章 教授(心理学:社会心理学)
甲南大学法科大学院 園田 寿 教授(法学:刑法、サイバー法)
広島大学大学院 匹田 篤 准教授(理学:社会情報学、メディア論)
成城大学 町村 泰貴 教授(法学:民事手続法、サイバー法)
北陸学院大学 村井 万寿夫 教授(教育学:教育メディア学)