1年で資生堂のIT環境から完全独立したファイントゥデイ──“システムに合わせた業務”がAI活用の礎に
11の国・地域でのグローバルERP刷新を成功に導いた要因とは。「BITA」リーダーに訊く
2021年に資生堂のパーソナルケア事業から独立して誕生したファイントゥデイは、1年あまりという短期間で11の国・地域へのグローバルERP展開を達成した。「Oracle Fusion Cloud Applications」を採用し、「SaaSファースト」と「Fit to Standard」を徹底したことで、短期間での業務立ち上げを実現している。2025年12月11日開催の「Oracle Cloud and AI Forum」で行われた講演では、ファイントゥデイ 執行役員 IT本部長の後藤章一氏が詳細を語った。また講演後の取材では、IT部門として取り組みを率いる小室英彦氏と槙智史氏に、ERP展開の実務やAIエージェント時代の業務変革への展望をうかがった。
1年で11の国・地域のシステムを入れ替え──Fit to Standardで実現したスピード構築
ファイントゥデイは、2021年7月に資生堂のパーソナルケア事業から独立して誕生したパーソナルケア製品メーカーだ。年間売上高は約1074億円、海外売上比率は約60%、11の国・地域で事業を展開する[1]。「TSUBAKI」「fino」「SENKA」「uno」など、コンビニやスーパー、ドラッグストアで手に取れる価格帯の製品を扱う同社だが、創業当初は資生堂のIT環境に相乗りする形でビジネスを開始したという。
後藤氏が入社した2021年10月、当時のIT部門は10人弱で、TSA(移行サービス契約)の期限は2023年1月。わずか1年強で11の国・地域の自前環境を構築し、資生堂のIT環境から独立しなければならないという重要課題が課せられていた。
「スケジュールがかなりタイトでなかなかしびれるプロジェクトでしたね。ゼロトラストネットワーク環境の上で、ERPを中心に極力SaaSシステムを用いたインテグレーションを行っていくというコンセプトを掲げました。その上で、どのようなソリューションを選べば期間内にプロジェクトを実行できるかという観点からソリューション選定を進めていきました」(後藤氏)
選択肢は極めて限られていた。後藤氏は最終的に「Oracle Fusion Cloud Applications」の財務、SCM領域を選定した理由を3つ挙げる。第一にSaaSであること。最初からレディメイドで作れるグローバルERPの選択肢は非常に限られるため、決め手の一つになったという。第二に標準プロセスの定義が既に存在していたこと。「すぐにビジネスを始めなければならなかったので、腰を据えて業務設計する時間がなかったのです。Oracle Fusion Cloud Applicationsに定義されている業務プロセスを極力活用していくことが必要でした」と後藤氏。第三に、10人に満たないIT人員で自前のメンテナンスを行うことは現実的ではなかったため、SaaSのマネージドプラットフォームとしての管理カバレッジや安定品質も考慮したという。
[1] 各種数値は2024年度の実績値
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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