データ保護にはオンプレミスよりもクラウドの方が安全だとの認識も広まる
この調査によると、AI(Artificial Intelligence)を活用している組織では、AIによる推論用の主要ITリソース(サーバーやストレージなど)として、オンプレミスを採用している比率が5割強、クラウドの同比率が3割強だった(参考資料)。
ITリソースの選定理由を見ると、オンプレミスを採用している組織では「データの保護が重要であったため」との回答率が突出して高く5割程度を占めた。一方で、クラウドを採用している組織では「データの保護が重要であった」と「インフラを保有したくなかったため」が共に2割で上位を占めた。
AIによる推論用のITリソースとして、オンプレミスあるいはクラウドのどちらを選択するにしても、選定基準としてデータ保護の重要度が高いという結果は、とても興味深いとIDCでは捉えている。
データを保護するためには、組織内にデータを保持して解析処理を行う方が安全だとの認識を裏付ける回答が多い一方で、同目的のためにクラウドを活用する、つまり、データ保護の観点から見てオンプレミスよりもクラウドの方が安全だとの認識がある程度、広まっているということになる。
学習フェーズで利用するデータの保管場所はクラウド、オンプレミスともに5割程度
また、解析対象データの主な保存/蓄積場所、つまり教師データとして学習フェーズで利用するデータの保管場所としては、クラウドおよびオンプレミスともに5割程度だった。AIによる推論で使用するITリソースとは異なり、データの長期保存先はクラウドでよいとの認識が背景にあると考えられる。
なお、AIで解析対象としているデータの種類を見ると、AIを活用中の組織では「システムログ」「Webアクセスログ」「CRMデータ」が上位を占めた。活用準備中/準備予定の組織では、「システムログ」「Webアクセスログ」に続いて「生産設備/機器の動作ログ」だったた。つまり、構造化データを扱うケースが多いという結果になった。
今回の発表は、IDCが発行した「2019年 国内企業のエンタープライズインフラのシステムタイプ別トレンド分析」にその詳細が報告されている。レポートでは、ユーザー調査の結果をもとに、経営課題の解決に向けたITの活用状況とその成果、さらにIT予算の内訳について分析している。
また、組織が置かれている競争環境に着目して、DX/IT戦略への取り組みを戦略の策定主体、戦略遂行上の課題、ITインフラ関連で取り組んでいることなどについて考察している。
さらに、インフラストラクチャのシステムタイプといった視点から、SoR(Systems of Record)としての基幹業務システムと、SoE(Systems of Engagement)やSoI(Systems of Insight)で重要度が高いと考えられるAI(Artificial Intelligence:人工知能)に着目して、その活用状況や採用しているITインフラストラクチャについて分析している。