2022年9月にCitrix Systems(以下、Citrix)は、TIBCO Software(以下、TIBCO)と合併。Cloud Software Group(以下、CSG)傘下に入ったことは記憶に新しい。2005年にNetScalerを買収するなど、長きにわたって仮想化の分野における雄として存在感を見せてきた同社は、どのような再スタートを切ったのか。シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長を務める萩野武志氏は、「日本の顧客の声を聞きながら、新たなGo To Marketモデルを策定して進めている」と話す。

CSGとしてのシナジーを発揮しながら従来路線は継承しつつも60社、グループ会社を含めて約250社ほどのエンタープライズ規模の重要顧客を中心に経営リソースを投下。他のターゲティング企業については、パートナー企業とともに支援策を拡充していくとする。また、Citrixとしては、クライアントの仮想市場においてグローバルシェアを約34%、NetScalerではネットワークトラフィックの約60%を有しているとして、20年以上にわたり両社で活躍してきたタレントを活かしながら変わらず寄与していくと強調。顧客も含めた形で三位一体となってビジネスをリードするだけでなく、これまで以上にグローバルチームとの連携を強化していくことでエンゲージメントも高めていくとした。
また、CSG内におけるCitrix BUでGeneral Managerを務めるSridhar Mullapudi氏は、コロナ禍を経てハイブリッドワークにおけるインフラの重要性が理解されて始めている中、ワークロードやID管理、モバイルやデスクトップなどデバイスの多様化、マルチ/ハイブリッドクラウドの浸透など、あらゆる局面で“ハイブリッド化”が見られるようになり、その複雑性に対応できる点でCitrixが選ばれていると話す。
エンドポイントにおける連携アプリケーションや対応クライアント数はもちろん、NetScalerを含めたネットワークソリューション、従来から支持されているデスクトップ仮想化(VDI)など、一気通貫した形で課題解消に寄与できるという。たとえば、ZTNAを実現するための「Citrix Secure Private Access」であったり、セキュリティ管理機能を強化しているWebブラウザ「Citrix Enterprise Browser」などにより、アプリケーションなどへのセキュアなアクセスを確保できるとする。他にも、Citrix Platformから得られるセッションデータやクライアントデータなどを基に、トラブルシューティングやパフォーマンス、セキュリティリスクの分析などに活用できるだけでなく、テレメトリデータやログなどからBIツールによる分析にも利用可能だとした。

なお、CSGやCitrixとしても重要性を訴えるNetscalerは、2022年に「Citrix ADC」から「Netscaler」ブランドに回帰しており、Netscaler General ManagerのAbhilash Verma氏は「Netscalerというブランドに戻ったことで、ユーザーからの歓迎の声も聞く。買収以来、Citrixの課題解決にフォーカスしていた部分もあったがビジネスユニットとして独立性が増したことによりカバーできる範囲が増えている。もちろん、Citrixへのコミットメントが変わるということはないが人員を増やすことができるため、これまで以上に手厚いサポートやソリューションを提供できるようになった」と述べる。

最後に同氏は、CitrixやNetscalerという個々のブランド価値を活かしながらも、CSGにおけるシナジーを発揮して顧客課題に解決していきたいとした。
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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