オートデスクは、2024年8月19日、建設業界が直面する喫緊の課題と、その解決に向けた革新的なアプローチを提示する会見を開いた。
オートデスクの高橋りえん氏は、オートデスクが実施した「State of Design and Make調査年鑑」の最新結果を発表。日本では、コスト管理と人材確保・育成が喫緊の課題として認識され、労働者の高齢化と生産性の低迷という構造的な問題があり、若手人材の確保が困難を極める一方、労働生産性の低迷にもかかわらず賃金は上昇傾向にある。この矛盾の解決が急務であることを報告した。
こうした課題に対し同社は、「Autodesk Construction Cloud (ACC)」を中心とした統合プラットフォームを提供し、プロジェクト全体のコミュニケーションを一元化・最適化し、業務効率化、リスク軽減、利益向上をめざすという。
ACCの最新のアップデートでは、AutoCADとAutodesk Docsの連携が強化され、設計変更の効率化が図られている。また、新たに発表された「コンテンツカタログ」は、デジタルコンテンツの管理・配布・検索を容易にし、不要な再作業を削減する。また、人材不足の解消に向け、オートデスクは従業員のスキルアップを支援するツールを提供していく。機械学習を用いて、AutoCADやBIM製品のRevitの使用状況を分析し、作業効率化と習熟を支援するという。
続いてオートデスクの大浦 誠氏は、AIを活用した将来の展望として「Autodesk AI」を紹介した。Autodesk AIとは単一の製品ではなく、同社の製品のAI機能の総称であり、状況に応じた支援、反復作業の自動化、大量のプロジェクトデータ分析を通じて、設計・施工プロセスの最適化とサステナビリティ実現を支援するという。
Autodesk Construction Cloudによりプロジェクト全体を繋ぎ、Tandem for AECでデジタルツインを作成しデータに基づいた意思決定を支援する。設計・施工段階では、ドキュメント管理、共同設計、デザインレビュー、数量拾いなどを効率化し、手戻りやコスト削減に貢献する。
また、同社が2028年ロサンゼルスオリンピック・パラリンピック競技大会の「デザインと創造」プラットフォームとして選出されたことも発表された。Autodesk Construction Cloudなどを活用し、既存建造物のデジタルモデル化、改修・再利用シナリオのシミュレーション、主要交通手段や交通管制計画の設計などをサポートするという。