2024年9月26日、Omnissa(オムニッサ)は東京で業界関係者向けのフラッグシップイベント「Omnissa ONE」を開催した。
同社は、ブロードコムによるVMware買収後、エンドユーザーコンピューティング(EUC)部門が投資ファンドKKRに売却された後に独立した企業。本イベントでは、Omnissa CEO(最高経営責任者)のシャンカー・アイヤー氏が登壇し、新会社としての戦略や今後の展望について語った。
アイヤー氏はイベント開催中に記者会見を行い、イベントの基調講演の内容を説明した。「これまでOmnissaは、VMwareのEUC部門としてWorkspace OneやHorizonなどの製品を扱っていました。現在、これらはコミュニティサービスプラットフォームの一部となっています」と述べた。
具体的な戦略として、Omnissaプラットフォームを紹介。このプラットフォームは、「仮想デスクトップとアプリ」「UEM(統合エンドポイント管理)」「セキュリティとコンプライアンス」「デジタル従業員体験」の4つのソリューションを通じて、「よりスマートなIT」「シームレスな体験」「積極的なセキュリティ」という3つの成果を実現するとしている。
Omnissaは独立企業となったことで、パートナーエコシステムの拡大にも注力している。アイヤー氏は「仮想アプリとデスクトップでは、AWSやAzureなどのプラットフォームベンダーに加えて、ヘルスケア分野のEpic Systemsなど主要アプリケーション企業とも協力しています。UEMではApple、Google、Microsoft、Intelなどのプラットフォームベンダーとしています」と語った。
さらに、独立によって得られた利点として、アイヤー氏は「我々は100%EUCに焦点を当てており、Apple、Google、Microsoft、Amazonとも非常に緊密に協力し始めています。これらのプラットフォームおよびクラウドプロバイダーとの平等な関係についての発表がさらに増えていくでしょう」と述べ、VMware時代には難しかった柔軟なパートナーシップの構築が可能になったことを示唆した。
アイヤー氏は、Omnissaが現在取り組んでいる生成AIの連携活用について紹介した。「我々は本質的に『自己保護、自己設定、自己修復』が可能な自律的ワークスペースを通じて、Omnissaプラットフォームを提供していきます」と述べ、さらに今後生成AIによって実現を目指す「自律的ワークスペース」のコンセプトを紹介。その3つの柱として、1)Self-securing(自律型のセキュリティ)、2)Self-configuring(自律型の構成)、3)Self-healing(自律型の修復)を掲げた。Self-securingは脆弱性、コンプライアンス違反、設定不備の検知および修復を行い、Self-configuringはデバイス、ユーザーまたはソリューション全体の登録を担当し、Self-healingはインシデント検知、隔離措置、修復を行う。
独立企業としての成長戦略に関して、アイヤー氏は「VMwareの一部門だった時には、様々な制約のため、特定の市場に完全に焦点を当てることができませんでした。しかし今はそれができます」と語り、特に日本や韓国などのアジア市場での成長に期待を示した。
また、生成AIを活用した新しいソリューションについても触れ、「実用的な洞察、会話型アシスタント、ガイド付き推奨を提供し、自律的ワークスペースのビジョンを実現するものです」と説明した。