損害保険ジャパンは、10月より、大規模言語モデル（LLM）を活用した照会回答業務支援システム「おしそん LLM（仮称）」のトライアル運用を開始した。
おしそん LLMの概要
おしそん LLMは、同社が保有する膨大な規定が記載されたマニュアルやQ&Aデータなどを学習し、照会内容に最適な回答案を自動生成するシステム。生成AIが作成した回答案および参照先文書が画面に表示されるため、回答者はそれをもとに最終的な回答内容を作成可能だという。そのため、回答者は1から文章を作成する作業が不要となり、照会対応における業務時間が削減できるとしている。
膨大な社内文書を生成AIへ投入するにあたり、テキストの構造化やRAG技術を活用することで、回答精度を高めているという。システム設計にあたっては「ヒューマンインザループ（データの収集やフィードバックにおいて人間が介在する仕組み）」のコンセプトを導入することで、効率的な学習データの収集による精度向上および生成AIによる誤回答のリスクを軽減しているとのことだ。
損害保険ジャパンでは、これらのシステムはエンジニアを中心に構成される内製チームで開発しており、ユーザーの改善要望や利用ログの分析から、アジャイルにシステムを改善することで精度向上につなげるという。
また、システム性能向上のため、同システムで採用している生成AIモデルに対してRobust Intelligenceが提供するプラットフォームを活用し、品質・倫理・セキュリティなどの観点から設計された多数のテストによるリスク評価を実施し、生成AI利用における安全性を確保しているとのことだ。
トライアルの概要
10月から、営業店担当者や本社担当者など、全国約1,000名を対象にトライアルを実施。開始当初は自動車保険、賠償責任保険など一部の保険種目のみで行うが、ユーザーの規模や対応する保険種目について段階的な拡大を予定しているという。
今後について
今回のトライアルを通じて、社員からのフィードバックを収集し、システムの精度向上や機能拡充を進めるとともに業務効率化効果を検証。将来的には、トライアルの結果を踏まえ全店への導入を検討し、さらなる生産性向上および顧客サービスの拡充を目指すとしている。
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