アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS ジャパン)と浜松医科大学は、スマートヘルスケアの実現に向けて包括連携協定を締結した。
両者は同連携において、人口減少・少子高齢化における静岡県内の医療課題に対して、県民がいつでも、どこでも、安心して必要な保健・医療・介護サービスが受けられる医療体制の実現に向けて協業していくという。AWS ジャパンは、静岡県や浜松医科大学が目指す医療提供体制の構築を、クラウドサービスや生成AIソリューションの提供をベースに技術面から支援。地域医療の質の向上と持続可能性の確保に貢献するとしている。浜松医科大学は、医療データの活用に関して、県内の地域医療支援病院を中心とした各医療機関の診療情報を共有する医療情報基盤の実現を目指すとのことだ。
また、同連携により、AWS ジャパンと浜松医科大学が市民・県民向けに医療サービスのデジタル化を推進するという。クラウドを活用することで、災害時などには医療データへの安定したアクセス体制を確保し、平常時には健康データプラットフォームを基盤としたデジタルヘルスケアアプリやAI健康予測モデルの導入を通じて効果的な健康づくりを支援するとしている。
両社は今回の連携において、以下5つの分野で協力するとしている。
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静岡県民の健康づくりに関すること
- 県民健康データプラットフォームのクラウド上での構築
- 県民向けデジタルヘルスケアアプリや健康予測AIモデルの導入による健康管理
- 遠隔健康相談・モニタリングシステムの整備
- データ分析基盤の構築とダッシュボードによる県民健康状況の可視化
- デジタルリテラシー向上のための県民向け研修・普及活動
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静岡県内の医療支援および医療・介護連携の促進に関すること
- 県内の医療・介護データを統合するクラウド上の地域医療情報プラットフォームの構築
- 患者データを安全に共有できる基盤と連携アプリの提供
- 中山間地域などの遠隔診療・遠隔介護体制の強化
- データ分析環境とダッシュボードによる医療提供状況の可視化と意思決定支援
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救急・災害時などの持続可能な医療提供体制に関すること
- クラウド上での医療データのバックアップ・レプリケーション環境の構築
- 災害医療救護活動時など、非常時の医療データへの堅牢なアクセス体制の確保
- 遠隔診療・オンライン医療相談体制の強化
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医療従事者の働き方改革に関すること
- クラウド上での電子カルテ構築とモバイルアクセス環境の実現
- 夜間・休日の遠隔診療システムの拡充
- AIを活用した診療支援・業務効率化による医療従事者の負担軽減
- AIを活用した文献レビューの効率化、データ分析支援、論文作成支援などによる研究者の負担軽減
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DXによる医療の高付加価値化に関すること
- 医療DX人材の育成とスキル底上げの支援
- 医療データの統合と高度な分析による治療研究・医療イノベーションの促進
- ヘルスケア・デジタル分野を含む県内スタートアップ支援によるイノベーション推進
- 医療機関、企業、個人からのデータ融合によるデジタル・イノベーションの創出
同連携の第1ステップとして、浜松医科大学は2024年4月施行の医療従事者の働き方改革に対応するため、医療現場における生成AI活用プロジェクトを実施。このプロジェクトを通じて、各職種の専門性を活かしたタスクシフトを行い、患者により質の高い医療を提供することを目指すとしている。今後は、生成AIの具体的なユースケースの特定から実証検証を経て、医療現場への本格実装を共同で進めていくという。
さらに、2029年に予定されている浜松医科大学の電子カルテシステム更新に際しては、浜松医療センターとのクラウドサービスを活用したシステム統合も検討されているとのことだ。
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