2025年2月4日、富士通は、モダナイゼーションの計画策定を支援する「Fujitsu 資産分析・可視化サービス」を、2025年2月より日本国内向けに提供開始すると発表した。
同サービスは、現行システムのアプリケーション構造や仕様を可視化する「資産分析・可視化サービス for アプリケーション資産」と、アプリケーション資産から設計書を生成する「設計書リバースサービス for アプリケーション資産」で構成。詳細は以下のとおり。
資産分析・可視化サービス for アプリケーション資産
アプリケーション資産の全体把握、スリム化・最適化、移植性評価を支援。アプリケーションの機能構造を可視化するソフトウェア地図を自動作成する技術により、アプリケーション資産をビルに見立てて、全体を地図形式で表現し、アプリケーション資産全体の現状を短時間で直感的に把握できるという。
また、アプリケーション資産全体をプログラミング言語種別ごとに棚卸し、使用されていない資産および類似ソースコードを検出。加えて、不足または重複している資産を検出することで、移行対象となる資産を明確化し、スリム化を図るとのことだ。移植性評価においては、アプリケーションに必要なメインフレームの機能を、モダナイゼーション実績に基づき標準化されたプロセスで選定し、その中からメインフレームからオープン環境への移行の際に障壁となる機能を抽出、移植の難易度を評価するという。
設計書リバースサービス for アプリケーション資産
解析ルールに基づき、機械的にソースコードを一行ずつ解析してシステムの構造を解明する従来の分析手法に、「Fujitsu ナレッジグラフ拡張RAG for Software Engineering」を組み合わせ、資産理解と設計書生成のさらなる高品質化を実現するとのことだ。
同技術では、生成AIの一種であるLLM(大規模言語モデル)を活用して資産分析と設計情報生成を行うという。具体的には、残存する設計情報や、既存のプログラム解析ツールもしくはLLMを活用したソースコードの静的解析結果(構文情報、制御フロー、データフロー、呼出関係など)を入力し、資産ナレッジグラフを作成。そこから独自のRAG機能を用いて、設計情報生成の対象とその関連範囲を高度に検索して絞り込み、関連ナレッジグラフとして抽出する。ソースコードと合わせてLLMに入力することで、ソースコードのみで設計情報を生成する場合に比べ、約40%の品質改善を確認したとのことだ。これにより、たとえば流通業では、人手による設計書生成に比べて約50%効率化できる見込みだという。
また、LLMのハルシネーションを防ぐため、入力情報の絞り込みと、LLMの忘却を検知する機能を開発。これにより、約95%の忘却防止かつ正確な設計情報生成が可能となり、人によるレビュー作業の効率化が期待できるとしている。
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