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これは未来の話ではなく、2025年の現実──“データの常識を変える”Qlikが歩みと成果を強調

 2023年のTalend買収以降、「Qlik Talend Cloud」を中核としたプラットフォーム戦略で存在感を増すQlik Technologies(以下、Qlik)。2025年のはじめには、Apache Icebergの最適化技術を獲得すべく、データエンジニアリングプラットフォームを提供するUpsolverを買収した。

 そんなQlikの日本法人であるクリックテック・ジャパンは2025年10月28日、年次イベント「The AI Reality Tour Tokyo 2025」の開催に合わせて、都内で記者説明会を行った。説明会には最高戦略責任者(Chief Strategy Officer)のジェームズ・フィッシャー(James Fisher)氏が来日登壇し、直近のQlikの戦略について説明した。

 「昨年はAI時代に向けての『ビジョン、約束、ロードマップ』について話してきたが、今年はQlikが何をどのように実行してきたのか、あるいはしているのか。新たなプロダクト、新たな成果とともに紹介する」とフィッシャー氏。企業をはじめとする組織の多くが今や自分たちのAI戦略を掲げているが、真に価値を生むためには戦略だけでは不十分だと述べる。

Chief Strategy Officer, Qlik ジェームズ・フィッシャー(James Fisher)氏
Chief Strategy Officer, Qlik
ジェームズ・フィッシャー(James Fisher)氏

 フィッシャー氏は「Qlikはこの1年で着実に“実行”を積み上げてきた」と述べ、生成AIアシスタントの「Qlik Answers」や、中核であるQlik Talend Cloud、さらにはプラットフォーム全体の機能強化などを挙げる。また、「何より重要なのは、我々がAIを現実のものとしていることだ」と語った。

 特に現在、エージェンティックAIに多くの期待と注目が寄せられている。IDCが今年実施した調査によれば、80%の企業がエージェンティックAIのワークフローに投資している。ただし、「データの準備が整い、意思決定に活用できている」と確信している企業はわずか12%とのことだ。大きな目標や期待はあれど、成功の確信が持てていないのが多くの企業の現状だろう。

 Qlikはこの問題の解決をサポートできるという。「我々が提供するエンドツーエンド(E2E)のプラットフォームでは、ソースデータからビジネス成果に至るまで、そしてデータエンジニアからビジネスユーザーに至るまで、必要なすべてをエージェンティックAIで実現する」とフィッシャー氏は力説。また、オープンで中立的なプラットフォームとして、Amazon Web Services(AWS)やDatabricks、Snowflake、Google、Microsoftなどといったパートナーが提供する多様なクラウドサービス、データ環境とシームレスに統合できる点をアピールした。

 そして同社が強みとしているのが、非構造化データへの対応だ。さらには、ユーザーの役割や利用シーンを想定したユーザーフレンドリーなデザイン、様々な職種やプロセスのための機能・能力を単一のプラットフォームで実現している点も強調された。

 ここからは、製品群の具体的な改善や機能強化について言及があった。たとえばアナリティクスの分野では、生成AIアシスタントのQlik Answersが非構造化データと構造化データの両方から回答を生成できるようになった。また、Qlik Cloudにはユーザーからの要望をもとに、ノーコードのデータ準備機能「Table Recipe」や、ユーザーが分析テーブル内で自由にデータを入力したり注釈を加えたりできる「Write Table」など複数の新機能も実装された。

 Qlikは、エージェントによってアナリティクスやダッシュボードの常識を刷新し、ユーザー体験を変革することに注力しているという。構想についてフィッシャー氏は、「アナリティクスやダッシュボードの体験を、ユーザーが自らログインして使うのではなく、自律的に情報を届けてくれるものへと変えていく」と語る。

 続いて紹介されたのは、データポートフォリオへの投資について。この領域では現在、Qlik Talend Cloudを中核にユーザーのクラウド移行を支援している。そしてこの分野でフィッシャー氏が大きな期待を寄せるのが、“トラストスコア(Trust Score)”についてだ。ユーザーの最も大きな不安や課題は、“データ品質”にあるからだという。この課題をAI機能で解決していくとのことだ。

 同社は今年のはじめにUpsolverを買収した。「Qlik Open Lakehouse(以下、Open Lakehouse)」を強化し、エンタープライズクラスの要件に応えるためだという。Open Lakehouseとは、Apache Icebergをベースにデータレイクからのデータの取り込みをリアルタイムで行い、変換と自動最適化、品質管理までを担うデータパイプラインの管理に役立つソリューションだ。既に一般提供が開始されている。

 「Icebergは今やあらゆるデータにアクセス可能になってきているが、アクセスやスケールの問題が顕在化している。データの量が急速に増えたことで、コストも膨れ上がっている。Open Lakehouseは、この問題を解決する」とフィッシャー氏は語る。クエリパフォーマンスは5倍に向上し、レコードの処理能力も大幅に強化(100万/秒)、さらには50%のコスト削減を見込めるとした。

 最後に同氏は「これらは未来の話ではなく、2025年に起こっている現実だ」とコメントし、データの常識を変える変革への意欲と自信を改めてアピールした。

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この記事の著者

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

2021年より事業変革に携わる方のためのメディア Biz/Zine(ビズジン)で取材・編集に携わった後、2024年にEnterpriseZine編集部に加入。サイバーセキュリティとAIのテクノロジー分野を中心に、それらに関する国内外の最新技術やルールメイキング動向を担当。そのほか、テクノロジーを活用...

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