本書は、LPI-Japanの標準教科書シリーズとしては第4弾となる。オープンソース系では、「Linux標準教科書」、「Linuxサーバー構築標準教科書」に続いて公開されたのが、今回の「オープンソースデータベース標準教科書 -PostgreSQL- 」である。「Linux標準教科書」は2008年6月に提供が開始され、18万件がダウンロードされた。
本教材は、データベースの経験の無い技術者を対象に、実習を通してSQL言語を使ったデータベースの操作、作成、管理についての基礎を学習するための教材が必要とのニーズに応えて開発されたという。無償のPostgreSQLを実際に動かしてみることで、データベースの初心者にデータベースの操作、作成、管理を学ぶことが出来る。理事長の成井弦氏は「日本の企業がなかなかグローバルに展開できない状況が続いている。グローバルな競争が激しくなるこれからの時代、多くの技術者にLinuxに加えてオープンソースのデータベースを学んでほしい」とその目的を語る。
監修を務めた宮原徹氏は「オラクルから始まった社会人としての経験をつぎこんだ。教育現場の先生や企業の研修担当に聞くと、なかなか入門に適した教材が無い。そこで今回は徹底して初心者向けの内容にした」と語る。たとえば、SQLのコード文は、そのままコピーして使えるようにし、通常の入門書では最初にくるインストールの章はあえて最後にもってくるなど「とにかく最初から動かせる」ということを重視したのだという。また、執筆メンバーもオープンソースDB会の代表的なメンバーにメーリングリストで協力を仰ぎ、アーキテクト、プログラマ、DBA、保守担当者、教育機関がバランスよく存在する執筆陣になったという。またEPUB版の製作は株式会社達人出版会の高橋征義氏がおこなった。公開のライセンスはクリエイティブコモンズに準じている。
また本教科書は、LPI-Japanが本年7月に発表した「OSS-DB認定技術者試験 Silver」の学習教材としても利用可能。松田神一氏は「まずこの教科書で初歩的な学習をさせることで、企業は研修コストを抑えることができる」と述べた上で、「OSS-DB資格のSilverの出題範囲は運用管理が50%、SQLが30%を占めるが、本教科書は運用については軽く触れる程度。この教材でSQLの基礎を学ぶ段階からはじめ、OSS-DB Silverをめざしてほしい」と語った。
今後はLPIサイト(http://www.lpi.or.jp)内にてOSS-DB認定試験と併せて公開し、LPICの資格保持者にも訴求していくとともに、内容についてはメーリングリストやWikiサイトで広く意見を求め随時アップデートしていくという。