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ガートナー、「日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2014年」を発表

 ガートナーでは、CRMを「顧客セグメントを中心に顧客満足度が向上する行動を推進し、顧客中心型のプロセスを実装することで形成される収益性、売り上げ、顧客満足度を最適化する成果をもたらすビジネス戦略」と定義している。

 このハイプ・サイクルは、日本のユーザー企業のCIO、IT部門のリーダー、CRMやデジタル・チャネルに特化したビジネス・リーダーのほか、テクノロジ・ベンダーのマーケティング、製品開発、戦略企画担当者に向けて、日本国内の状況も加味しながら、日本企業にとって優先度の高いCRM関連のアプリケーション・ポートフォリオを策定する際に考慮すべきトレンドを、業種横断的な視点で示しているとしている。

図1:日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2014年(出典:ガートナー 、2014年7月)

「日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2014年」では、特に注目すべき4つのテクノロジ/アプリケーションについて、次のように説明している。

顧客の声ソリューション――黎明期

 顧客の声(VoC)ソリューションは、直接的および間接的に顧客から寄せられる(あるいはそのように推測される)フィードバック情報を収集、保管、分析するための、歴史的にサイロ化されてしまっている複数のテクノロジを集結させるもの。

 単にコンタクトセンターに寄せられる苦情や要望のみに対処するだけではなく、あらゆるチャネルで活用されるソーシャル・メディア・モニタリング(SMM)、エンタプライズ・フィードバック管理(EFM)、音声分析、テキスト・マイニング、Webアナリティクスといったテクノロジが統合され、VoCを総合的に取りまとめた全体像を提供。

 これにより、個々の顧客にとって適切な情報を適切なタイミングで適切なチャネルを通じて広めることができ、結果的に顧客インサイトが活用されることになる。このような総合的なアプローチを完全に実現できるベンダー/製品は現時点では存在しないため、黎明期に位置付けられる。

CPQスイート――ピークに向かって上昇

 CPQ(Configure、Price、Quote)スイートは、交渉を伴う営業活動において必要となる製品コンフィギュレータ(C)、価格設定(P)、見積もり作成(Q)から最終的な提案書生成までの各機能を統合したスイート・アプリケーションであり、さまざまなチャネルにおける顧客エンゲージメントを支援し、販売対象の製品やサービスについて交渉内容に固有の組み合わせを、統制を保ちつつ提示することで営業活動の効率および効果の向上をもたらすもの。

 たとえば、商談に関して、顧客の要望を聞き取るところから見積もり作成までの一連のプロセスを、その場で顧客を交えながら、タブレット端末上で、ワンストップで完結できるようになる。C、P、Qそれぞれが個別に単独のアプリケーションとして機能するようでは、このようなワンストップの対応は実現できない。

 今後は、リアルタイムにバックエンドの情報(在庫状況や価格改定、プロモーションの条件設定など)と連携させることでさらなる発展が見込まれるが、現時点では日本でもようやく普及が始まったばかりであり、ハイプ・サイクル上をピークに向かって上昇している段階にある。

仮想顧客アシスタント――ピークに向かって上昇中

 仮想顧客アシスタント(VCA)は、情報提供のための会話を機械的に支援するものであり、さらに発展したものは、顧客の代わりにアクションを起こすものまでを含む。

 単に機械的に顧客の要望を音声で聞き取り、決まった答えを返すだけにとどまらず、ビジネス上のコンテキストに則したアシスタント機能(たとえば、質問の回答と共に推奨商品の案内を行うなど)まで提供することが肝要。

 これの実現には、次の4つのテクノロジ・コンポーネント、(1) 自然言語を処理するエンジン、(2) 音声もしくはテキストで要求を受け取り、回答を提供するユーザー・インタフェース(UI)、(3) ナレッジやコンテンツが格納されたビッグ・データ・リポジトリをつぶさに検索できるサーチ・エンジン、(4) 質問者の意図を理解できるコンテキスト解析エンジンが必要。

 これまでこのテクノロジは、日本語環境では英語環境に比べると大きな遅れがあったが、2014年になってようやく発展の芽が見られるようになってきたこともあり、現時点ではハイプ・サイクル上をピークに向かって上昇中の段階にあると位置付けている。

リード管理――啓蒙活動期を上昇

 リード管理は、マーケティングと直接/間接双方の営業チャネルを橋渡しすることで、リード生成から成約に至るまでのクローズド・ループを形成し、需要創出、実行、案件管理の改善を通じて、案件の高度化を促進するためのビジネス・プロセスとテクノロジを統合したもの。

 この考え方自体は決して新しいものではなく、従来もソリューションが提供されていたため、ハイプ・サイクル上ではなだらかな坂(啓蒙活動期)を上昇している段階にある。

 これによって、さまざまなソース(Webからの会員登録、ダイレクト・メールや電子メールなどによる各種キャンペーン、サードパーティ提供リスト、コンプライアンス関連情報、ソーシャル・メディア、展示会など)から得られる未確認のコンタクト情報と案件が、リード管理プロセス(認定、スコア化、ナーチャリング、増強、優先順位付けなど)に則して可能な限り自動的に処理され、直接/間接の営業チャネルおよびE-Commerce上の案件情報として提供される。

 最近では、特にWebサイトやソーシャル・メディアなどのデジタル上のコミュニケーションが活発になってきたことが大きな要因となり、デジタルを活用したリード生成や育成の効果が再度注目されるようになっている。

 なお、詳細については、ガートナー・レポート「日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2014年」に記載されている。

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