この調査は、日本国内の民間企業及び地方自治体等617社・団体を対象として、2014年7月~10月にかけて郵送アンケート調査で実施された。結果の概要は次のとおり。
自社開発システムからパッケージソフトウェア利用への移行が進む
国内の民間企業及び地方自治体等への法人アンケート調査結果によると、現在の自社開発システムの利用率は、販売管理システムが51.1%、生産管理・SCMシステム(加工組立製造業)56.0%、同(プロセス製造業)56.3%で、これらの業務分野ではまだ5割以上の企業が自社開発システムを利用している。
また、システム更新及び導入予定のある企業のうち、次回のシステム導入形態を自社開発システムと回答した比率は、販売管理システムが28.7%、生産管理・SCMシステム(加工組立製造業)22.6%となり、現在の利用率からは20~30ポイント減という結果になった。
パッケージソフトウェアの機能向上や業種・業務に対応したテンプレートの提供によってパッケージソフトウェアの利用が促進されており、今後自社開発システムからパッケージソフトウェア利用への移行がさらに進むと推測する。
SaaSはCRM・SFAでは優先的に利用、それ以外ではクラウド化の進展は遅い
現在SaaS(SoftwareasaService)の利用率が最も高い業務分野はCRM・SFAで12.9%となった。システム更新及び導入予定のある企業のうち、次回のシステム導入形態がSaaSと回答した比率は、財務・会計システムが5.1%で現在の利用率2.4%からは微増に留まったが、CRM・SFAは29.0%で、現状より16.1ポイント増と大きく伸びている。
CRM・SFAは、外資系大手ベンダーを筆頭に有力なSaaSベンダーが市場を牽引しているため、パッケージソフトウェアではなくSaaSが優先的に利用される見通しである。他の業務分野ではユーザ企業のSaaS利用意向はあまり強くないため、クラウド化は緩やかに進んでいくと推測する。
なお、この調査の詳細は、矢野掲載研究所が発行する「ERP/業務ソフトウェアの導入実態2015-会計、人事、販売、SCM、CRM-」(2015年3月10日発行)にまとめられている。