2015年第2四半期の国内クライアントPC市場は、前期(2015年1月~3月)に引き続き、出荷台数が大きく落ち込んだ。出荷台数が253万台を下回るのは、過去の集計からみると、1999年第2四半期の246万台まで遡ることになる。
つまり、1999年の第3四半期(7月~9月)以降、出荷台数が253万台を下回ったことは一度もなかった。今期、出荷台数が落ち込んだ主な要因として、円安により値ごろ感が出せなかったこと、2014年のWindows XPのサポート終了による特需の反動の2つが挙げられる。
ベンダー上位5社の出荷台数は、前年同期比3割~5割減となる大幅なマイナス成長になった。その中で、HPは、マイナスの幅を抑えて前期より1.0ポイントシェアを伸ばし、東芝と同率3位になった。
NECレノボグループは、流通在庫に課題があり、ビジネス市場で前年同期比46.4%減、家庭市場では同比 30.3%減、全体では39.2%減となった。富士通は、利益重視の戦略から、無理な出荷を避け、ビジネス市場で前年同期比53.2%減、家庭市場では同比39.3%減、全体では47.7%減だった。
東芝は、ビジネス市場で前年同期比44.9%減、家庭市場では同比36.3%減、全体では40.3%減となった。HPは、ビジネス市場で前年同期比29.3%減と他のベンダーと比べてマイナス幅が小さいことが貢献し、家庭市場では同比63.1%減だったが、全体では37.4%減であった。
Dellは、ビジネス市場では、中堅中小企業の不調が響き、前年同期比51.6%減、家庭市場では同比30.6%減、全体では47.5%減だった。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション リサーチマネジャーの片山雅弘氏は「2015年第2四半期は、非常に厳しい結果となった。しかし、ビジネス市場はこの先回復基調に向かうと考えられる。なぜなら、Windows XPのサポート終了によって買い替えが前倒しされるといった出荷台数を減少させる要因があったものの、ビジネスで利用しているPCの稼動台数が減ったわけではないからだ。母数が変わらなければ、再び買い替え需要がやってくる。また家庭市場では、少なからずWindows 10による需要喚起も期待できる」と分析している。
今回の発表内容について詳細は、IDCが発行する「国内PC市場 2015年第2四半期の分析と2015年~2019年の予測」にまとめられている。
なお、IDCでは、PC市場におけるベンダー出荷台数実績の差が1%未満の場合、ベンダーシェアでは、タイ(同位)として取り扱うとしている。
またこの調査は、IDCが実施したPCベンダー調査、ユーザー調査、販売チャネル調査などをもとに、独自の分析を行って算出したもので、ここでいう国内のクライアントPC市場には、デスクトップPC、ポータブルPCが含まれおり、x86サーバーは含まれていない。