柔軟性があるオンプレミスプライベートクラウドやDPC
この調査では、サーバーを含むITインフラ予算の変遷について、国内企業2社から開示を受け、インタビュー調査によって深く掘り下げている。この結果によると、調査対象企業はITインフラのコスト最適化のため、自社所有から外部サービスの活用へ向けた取り組みを過去3年間、進めていた。
また、インタビュー時点で採用していた主なITインフラはそれぞれ異なっていた。具体的には、自社所有のオンプレミスプライベートクラウドと、サービスプロバイダーによって提供されるデディケイテッドプライベートクラウドサービス(DPC)だった。
オンプレミスプライベートクラウドやDPCは、パブリッククラウドサービスとは異なる特徴を持っている。オンプレミスプライベートクラウドやDPCには、x86サーバーだけではなく、メインフレームなどのプロプライエタリーなサーバーも利用できる柔軟性がある。
また、サーバーを専有しているので処理性能を把握しやすく、サーバーの移行や新たなワークロードの試行時も安定運用しやすいため、IT部門にとって魅力的な選択肢になっている。
その反面、ITインフラを専有することにより、リソースの柔軟な拡張性/縮小性が制限される。リソースの柔軟な拡張性/縮小性が制限されることにより、事業環境の変化に合わせたコストの最適化は困難になる。
コスト最適化目的のパブリッククラウドサービス利用ではレガシーマイグレーションが鍵
一方で、パブリッククラウドサービスでは、メインフレームなどのプロプライエタリーなサーバーを利用できない。そのため、コスト最適化を目的としたパブリッククラウドサービスへの全面的な移行の阻害要因になり得る。
つまり、コスト最適化を目的としたパブリッククラウドサービスへの移行の前段階として、レガシーマイグレーションを進める必要がある。
なお、レガシーマイグレーションとはメインフレームからノンプロプライエタリーなサーバーへ移行することを表している。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ マーケットアナリストの加藤慎也氏は、「IT部門は、ITインフラのパブリッククラウドサービスへの適性を高めていくべきである。ユーザー企業とサービスプロバイダーの間で、サーバー1台を運用するに当たってのコストの差は今後も広がり、パブリッククラウドサービスの利用によるコスト削減 効果は高まっていくとみている。そのため、ユーザー企業はクラウドサービスの動向を把握し、自社の事業環境に合わせた、適切なITインフラを選べるように準備していくことが求められる」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「2015年 国内サーバー市場ユーザー動向調査:所有から利用へのシフト」にまとめられている。