国内ITサービス市場は、2014年には前年比3.9%増と、世界金融危機前の2007年に達成した成長率と並ぶ高い成長率で推移した。これを支えたのは、金融機関や公共セクターにおける積極的なシステム構築投資だった。
2015年に入っても好調な市場環境は続き、同年の国内ITサービス市場の前年比成長率は2.7%に達するとIDCではみている。
金融、公共によるシステム構築需要も継続し、SI、ITコンサ ルティングなどから構成されるプロジェクトベース市場の成長率は、2014年に引き続き2015年もITアウトソーシング市場の成長率を上回る見込みだ。
2016年以降も国内ITサービス市場は堅調に拡大が続くとIDCではみている。しかし、成長率は2015年までほどではなく、2014年から2019年にかけての年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は1.9%にとどまるとIDCでは予測している。
変化するのは成長率だけではなく、提供するサービス内容も同様だ。足元での市場成長をけん引しているのは、主にクライアント/サーバーシステムなどを中心とした「第2のプラットフォーム」に関わるシステム構築だが、今後はクラウド、モビリティ、ソーシャル技術、ビッグデータ/アナリティクス、さらにはIoTなどの、「第3のプラットフォーム」に関わるITサービス支出が急激に拡大していくと考えられる。
この「第2」から「第3」へのシフトに対応できないITベンダーは、淘汰されていく可能性さえあるといえる。国内ITサービス市場における第3のプラットフォームへのシフトは、単にサービス内容だけでなく、競争環境や顧客との関係性を変えていくとしている。
IDC Japan ITサービス/コミュニケーションズ グループディレクターの寄藤幸治氏は、「国内ITサービスベンダーは、競合に先駆けて、サービスの継続的な見直し、顧客の見直し、自らのスキルの見直しを行い、プロセスイノベーションを起こしていくべきである。それによって、顧客にとってのイノベーションパートナーになることができる」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「 国内ITサービス市場産業分野別2014年の実績と2015年~2019年の予測:2015年上半期アップデート」にまとめられている。