2014年~2019年の年間平均成長率は3.1%と予測
2015年上半期の国内モバイル/クライアントコンピューティング市場の出荷台数は、前年同期比8.3%減の2,277万台だった。また、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は3.1%とみており、2019年は通年で5,836万台となると予測している。
2015年上半期のスマートフォン出荷は、前年同期比14.1%増の1,305万台だった。同期は、従来の携帯電話(フィーチャーフォン)と同様の筐体でAndroidベースのスマートフォンの出荷が開始された。フィーチャーフォンは2017年以降、対応する半導体の生産が終了する可能性があり、同製品は今後フィーチャーフォンからスマートフォンへ切り替えていくための布石の製品になるとIDCではみている。
今後、これらの機種によりスマートフォンへの切り替えが促進することが期待され、2014年~2019年のCAGRは4.7%と予測している。
タブレットの2015年上半期の出荷は、前年同期比0.6%増の399万台だった。ビジネス市場は教育市場向けの出荷やB2B2Cの用途により、前年同期比2桁のプラス成長となったが、家庭市場は大画面のスマートフォンやキラーアプリケーション不在による需要の低下から、2桁のマイナス成長であった。
2014年~2019年のCAGRは、日本郵政による高齢者向けタブレットや教育市場などビジネス市場がけん引し、3.3%と予測している。
PCの2015年上半期の出荷は、前年同期比39.2%減の573万台。2014年のWindows XPのサポート終了に伴う買い替え需要や消費増税による買い替え需要の反動に加え、急激な円安の進行によって、ベンダーのコストが上昇し、ユーザーが求める価格とベンダーが提示する価格のギャップが拡大したことが主な要因になっている。
これらの影響は、2016年まで続くと予測されますが、ビジネス市場を中心に2017年以降需要引き下げ要因が緩和し、2020年にはWindows 7のサポートが終了することから、これに向けた買替えが促進されるとみている。これにより2014年~2019年のCAGRは0.1%と予測している。
2019年の稼働台数は2億15万台に拡大すると予測
一方、国内モバイル/クライアントコンピューティング市場の稼働台数は、2014年の1億5,563万台から2019年には2億15万台に拡大し、2014年~2019年のCAGRは5.2%と予測している。
スマートフォンは、家庭市場を中心に一巡しているが、現在のフィーチャーフォンの利用者が2017年以降スマートフォンへ切り替わることが予測され、2014年~2019年のCAGRは11.3%と予測している。タブレットは、家庭市場では買い替えサイクルの長期化と出荷の減少によって徐々に稼働台数が減少することが予測される。しかし、ビジネス市場での活用が進むことから、タブレット市場全体での2014年~2019年のCAGRは6.9%と予測している。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は、「ビジネス市場でのスマートフォンやタブレットは、今後伸びる余地が十分にある。企業では、セキュリティを担保しながら第3のプラットフォームに即したセキュリティポリシーの柔軟な運用を行い、今後のモビリティ化を進めることが重要になる」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「 国内モバイル/クライアントコンピューティング市場 2015年第2四半期までの分析と2015年~2019年の予測」にまとめられている。