これによると、2015年第3四半期の国内モバイルデバイス出荷台数は、前年同期比4.2%増の1,077万台となった。スマートフォン市場は、新製品の投入によって前年同期比13.1%増のプラス成長となった。
また、タブレットは通信事業者向けの出荷が好調に推移したことから、前年同期比29.1%増であった。しかし、PCは2014年のWindows XPサポート終了に伴う特需の反動の継続および円安に伴う平均価格上昇の影響によって、買替えサイクルが長期化し、同21.9%減の大幅なマイナス成長となった。このPC出荷台数の大幅な減少によって国内モバイルデバイス市場での前年同期比成長は1桁のプラス成長にとどまった。
2015年通年の国内モバイルデバイス市場は、前年比7.4%減の4,828万台と予測している。PC市場は、同市場の約6割を占めるビジネス市場でのPC買替えサイクルの長期化や、過剰な流通在庫の解消が進まないことが予測される。
また、家庭市場ではPCの購買を促進する要素は少なく、ビジネス市場同様に過剰な流通在庫が短期的に解消せず、ITサプライヤーの生産/出荷調整が続くと考えられる。これらによって2015年のPC市場は、3割強のマイナス成長が続くと予測される。
また、タブレット市場はビジネス市場での導入が進むことが予測される。しかし、家庭市場ではWi-Fiモデルを中心にキラーアプリケーション不在の状況が続き、大型スマートフォンとの競合によって、タブレット市場全体としては2015年通年で前年比マイナス成長になると予測される。
一方、スマートフォン市場は、各通信事業者によるスマートフォンの下取りなどのキャンペーンによる買替え需要によって、プラス成長が予測される。市場の過半数を占めるスマートフォン市場の底支えはあるものの、2015年の国内モバイルデバイス市場の家庭市場向け出荷は、前年比1.8%減の3,802万台、ビジネス市場向け出荷は23.6%減の1,026万台と予測している。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は、「国内モバイルデバイスビジネス市場の中心はPCである。PCビジネス市場は、円安に伴う価格高止まりの影響や、過剰流通在庫が2016年以降も継続することが予測され、出荷台数は縮小する可能性が高い。一方、タブレット/スマートフォン市場は、特定業種用途での利用が拡大することが予測される。2016年以降の国内モバイルデバイスビジネス市場は、タブレットやスマートフォンが底支えすることで推移すると予測される」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内モバイルデバイス市場 2015年第3四半期の分析と2015年~2019年の予測」にまとめられている。