サーバーベンダーが自ら解決できる項目によるビジネス機会は相対的に小さい
サーバーの調達に際して、要求仕様に合致する機種が見つからないケースの有無について質問したところ、「要求仕様に合致する機種が見つからず、スペックダウンして調達した、もしくは調達を中止したことがある」とする回答が、259社の41.3%に当たる107社あった。さらに、107社の88.8%に当たる95社が「要求仕様に合致する個別設計のサーバーを供給できるベンダーがあれば採用したい」と回答している。
しかし、要求仕様に合致しなかった項目として、20%以上の回答があったものは「CPUの単体性能」「メモリー容量」「CPUの搭載数」「採用メモリーの種類」の4つであった。個別設計サーバーによって差異化し得る「消費電力(省電力性)」「電源仕様」「内蔵ストレージの容量やスロット数」「搭載可能な内蔵ストレージ(HDD、SSDなど)の種類」「動作条件(温度/湿度など)」「障害検知機能」といった項目が要求仕様に合致しなかったとする回答はすべて15%以下と、相対的に低いという結果だった。
x86サーバーの大半は、搭載するx86プロセッサーやチップセットの供給をインテルに頼っている。サーバーベンダーが個別設計サーバーを提供することで、自ら解決できる項目では、ビジネス機会が相対的に小さいと考えられる。
2019年のx86サーバー市場における個別設計サーバーの構成比は21.9%
また、ODMがODMダイレクトなどの個別設計サーバーを一般企業に対して拡販しても、その費用対効果は低い可能性が高いと考えられる。なぜなら、国内企業がベンダー選定において最重要評価項目として回答した項目で突出して多かったのは「ベンダーの信用力(業界実績/財務体質/継続性など)」であり、国内市場においてはODMよりもサーバーベンダーのほうが一般企業における実績が多く長期にわたり事業展開しており、さらに財務状況を日本語で開示してきたことから、より信用力が高いと一般企業が認識していると想定される。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ グループマネージャーの福冨里志氏は、「一般企業における市場機会は必ずしも大きくはないが、クラウドサービスプロバイダーからの個別設計サーバーに対する需要は今後も堅調に推移し、2019年には国内x86サーバー市場における個別設計サーバーの出荷台数は10万8,000台(構成比21.9%)、出荷額は363億4,000万円(同12.6%)になる」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行した「2015年 Custom-Designed Serverに関する国内ユーザー調査:認識と採用意向 」にまとめられている。