セキュリティソフト市場の2019年までの年間平均成長率は4.8%で2019年には2,731億円に
2015年の国内セキュリティソフトウェア市場は、アイデンティティ/アクセス管理とエンドポイントセキュリティやメッセージングセキュリティなどの外部脅威対策製品で需要が高まり、前年比成長率は5.8%と推定している。2016年以降は、サイバーセキュリティ基本法やマイナンバー法、改正個人情報保護法といった法規制によって、サイバーセキュリティ対策や個人情報保護対策への需要が拡大するとみている。
そして、クラウドサービスやモバイルデバイスの利用拡大、標的型サイバー攻撃によるセキュリティ侵害の重大化で、アイデンティティ/アクセス管理やエンドポイントセキュリティ、セキュリティ/脆弱性管理のニーズが高まるとみている。
国内セキュリティソフトウェア市場の2014年~2019年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.8% で、市場規模は2014年の2,158億円から2019年には2,731億円に拡大すると予測している。
アプライアンスはUTM製品、IPS製品、DDoS攻撃対策製品が市場をけん引
また、SaaS型セキュリティソフトウェア市場はエンドポイントセキュリティ、Webセキュリティで需要が高まっている。2016年以降は、標的型サイバー攻撃に対する先進的なマルウェア対策や運用管理負荷の軽減、事業継続を目的としたニーズが高く、SaaSソリューションへの需要が拡大するとみている。
そして、マイクロソフトのOffice 365やAzure Active Directoryとのクラウドベースでの連携ソリューションのニーズも高まっており、SaaS型セキュリティソリューションに 対する需要が拡大するとみている。SaaS型セキュリティソフトウェア市場全体の2014年~2019年におけるCAGRは12.5%で、市場規模は2014年の123億円から2019年には222億円に拡大すると予測している。
2015年の国内セキュリティアプライアンス市場は、多層防御を備えたUTM(Unified Threat Management)とWeb経由のマルウェア感染を防御するWebセキュリティで需要が拡大しているが、ファイアウォール/VPNはUTMへの移行が進み軟調であることから、前年比成長率はほぼ横ばいの0.3%と推定する。
2016年以降は、サイバーセキュリティ基本法などの法規制によって、サイバー攻撃に対するセキュリティ対策の強化が求められることから、多層防御を備えたUTM製品や、サンドボックス技術を使った非シグネチャ型IPS(Intrusion Prevention System)製品、未知の脆弱性を狙ったDDoS攻撃への対策製品が市場をけん引し、需要が拡大するとみている。セキュリティアプライアンス市場全体の2014年~2019年におけるCAGRは3.2%で、市場規模は2014年の414億円から2019年には486億円に拡大すると予測する。
セキュリティアプライアンスとセキュリティソフトウェア製品を合わせた情報セキュリティ製品市場全体では、2014年~2019年の年間平均成長率は4.6%、2019年に3,217億円に達すると予測している。
「製品サプライヤーはセキュリティ侵害を前提としたソリューション提供の促進を」
標的型サイバー攻撃では、標的型メール攻撃や未知の脆弱性を狙うゼロデイ攻撃といった巧妙化が進んでおり、セキュリティ侵害を防ぐことが難しくなってきている。また、セキュリティインシデントの多くは潜在化していることから、問題が表面化した時点では、すでにそのインシデントが重大化しており、被害が深刻化している恐れがある。
ユーザー企業では、大量のセキュリティインシデントから重大化するインシデントを早期に発見し迅速に対処することが重要となる。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は、「セキュリティ製品のサプライヤーは、セキュリティ侵害が発生することを前提にしたソリューションとして、ユーザー企業に対し、セキュリティインシデント情報を収集し、分析、そして監視、管理するセキュリティ管理や、ガバナンス/リスク/コンプライアンス(GRC)の導入を促進すべきである。内部で発生する大量のセキュリティインシデントから、重大化するインシデントをリスク管理によって可視化し迅速に対処することで、被害を最小限に抑えられる」と述べている。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内情報セキュリティ製品市場予測アップデート、2015年~2019年」にまとめられている。