2年連続の3%台成長はプロジェクトベース市場がけん引
2015年の国内ITサービス市場規模は、前年比3.0%増の5兆3,849億円になったものとみられ、2年連続して3%台の成長を達成したことになる。好調な成長が続く同市場だが、そのけん引役となったのはSIやITコンサルティングを中心としたプロジェクトベース市場だった。
金融機関におけるシステム更新や統合案件、マイナンバー制度に関連する投資といった大型案件のほか、企業の業績回復を背景にしたシステム更新/新規投資が多く見られた。産業分野別にみると、金融業や流通業などで、バックオフィスのシステム更新/統合などに加えて、顧客接点強化に関わる投資が増え、好調に推移している。
2015年~2020年の年間平均成長率は1.7%%で、2020年には5兆8,727億円と予測
2016年以降の国内ITサービス市場は、システム統合やマイナンバーなどの大型案件が終息することもあり、成長率は鈍化するものとみられる。しかし、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、IoTなど、第3のプラットフォームやデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するシステム投資が徐々に存在感を強めていくとIDCではみている。
同市場は、第3のプラットフォームに関連する支出が新たな成長の原動力となり、2020年までにわたり年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)1.7%で推移するものとIDCでは予測している。
堅調な成長が予測される国内ITサービス市場だが、第3のプラットフォーム/DXを実現する人材の不足や、クラウド、BPO(Business Process Outsourcing)といったITサービスの代替製品/サービスの利用拡大といった背景により、ITサービスベンダーがその市場機会をつかめない可能性もある。
IDC Japan ITサービス/コミュ ニケーションズ/IPDS/ユーザーサーベイ グループディレクターの寄藤幸治氏は、「ITサービスベンダーが第3のプラットフォーム/DXをめぐる戦いに勝つためには、組織全体として、あるいは組織の枠を超えることによって、時代の変化に対応していかなくてはならない。顧客のビジネスデザインを行えるスキル体得、提供サービスの範囲拡大、イノベーションの実現を目的とした新たなエコシステム構築などが挙げられる」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「国内ITサービス市場産業分野別予測、2016年~2020年」にまとめられている。