エンタープライズストレージでの構成比は売上額で32.6%、出荷容量で55.9%に
IDCでは、外付型エンタープライズストレージシステム市場をシステム価格によってハイエンド(3,000万円以上)、ミッドレンジ(500万円~3,000万円未満)、ローエンド(500万円未満)に分類している。
2015年上半期の国内外付型ローエンドストレージシステム市場は、売上額が前年同期比5.4%増の340億1,800万円、出荷容量が同23.5%増の452.5PB(ペタバイト)、出荷台数が同1.4%増の1万4,777台となった。2015年上半期の国内エンタープライズストレージシステム市場全体に占めるローエンドストレージシステムの構成比は売上額が32.6%、出荷容量が55.9%、出荷台数が82.3%となった。
「200万円~500万円未満」の市場は6半期連続のプラス成長
2015年上半期のローエンドストレージシステム市場をさらに価格帯によって分類すると「200万円未満」の市場は35.7%、「200万円~500万円未満」の市場は64.3%を占めた。「200万円未満」の市場は、2半期連続でマイナス成長となった一方で、「200万円~500万円未満」の市場は6半期連続のプラス成長となった。
「200万円未満」の市場は「同一ブランドのx86サーバー+ローエンドストレージシステム」という形態で販売される比率が圧倒的に高い市場。2015年上半期は、IBMのx86サーバー事業のレノボへの売却など市場構造の変動などが影響してマイナス成長となった。
一方、「200万円~500万円未満」の市場では、サーバー仮想化環境における需要が拡大しているほか、マルチプロトコル対応やストレージ仮想化機能を搭載し、FC-SAN、スケールアウトやバックアップ特化型のNASなど特徴的な機能を持った製品が需要を伸ばした。
間接販売比率は66.9%、成長にはチャネルパートナーとの協業が重要に
また、ローエンド市場は、チャネルパートナーによる間接販売比率が高いのも特徴。2015年上半期のローエンド市場における間接販売の構成比は66.9%に達しました。ローエンドストレージ市場で成長を継続しているベンダーは、直販から間接販売へのビジネスシフトを進めるだけではなく、チャネルパートナーが販売しやすい仕組みづくりを進めるなど、チャネルパートナーとの協業で成功している。
2015年上半期の国内ローエンドストレージシステム出荷金額(325億5,500万円)では富士通が第1位(シェア25.8%)、次いでEMC(15.8%)、NEC(11.7%)、日本ヒューレット・パッカード(7.5%)、ネットアップ(6.6%)が上位5社だった。なお、IDCでは外付型ストレージシステムの市場規模の算出には、ベンダー出荷金額(Vendor Revenue)にチャネルマージンを加えた売上額(Value)を採用しているため、2つの数値の間に差が出ている。
IDC Japanでは、「ストレージベンダーがローエンドストレージシステム市場で成長を達成するためには、製品の拡充と機能強化にとどまらず、チャネルパートナーとの協業を含めた販売戦略の強化や見直しが重要になる」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「2015年国内ローエンドエンタープライズストレージシステム市場ベンダー競合分析」にまとめられている。