2015年の国内市場規模は、前年比20.6%増、557億8,000万円
2015年の国内MPS市場の売上額は557億8,000万円で、前年比20.6%の増加だった。IDCでは、国内MPS市場の2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)を17.1%、2020年の市場規模を1,230億4,700万円と予測している。
MPSは、企業のオフィス出力環境の現状を分析した上で、最適な出力環境を構築、その環境を継続的に維持/運用していくアウトソーシングサービス。MPS導入によって、出力環境に関するTCO(Total Cost of Ownership)の把握/削減、出力管理業務プロセスの効率化、環境負荷軽減といった効果を期待することができる。
MPSは、欧米諸国を中心に市場が拡大しており、全社レベルでプリント環境のコスト削減、業務効率化、環境負荷低減に取り組む企業を中心に、国内でも導入が進んできている。
国内MPS市場は、そのほとんどが従業員規模1,000人以上の大規模企業市場であり、売上額の90%以上を占めている。この傾向は、2010年からほとんど変化していない。産業分野別では、製造分野の比率が高い傾向は続いているが、流通分野、金融分野の比率が伸びる傾向が見られる。
デジタルトランスフォーメーションの普及を前提とした新たなMPS提供が求められる
IDCでは、今後国内市場において、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術といった第3のプラットフォームを前提とした、ビジネスモデルの転換があらゆる産業分野で起こると予測しており、こうしたビジネスモデルの変革をデジタルトランスフォーメーション(DX)と呼んでいる。
DXによって、今後企業の顧客コミュニケーションは、紙を含む複数のメディアを顧客自身が最適に組み合わせる形態へと変化する可能性がある。MPSベンダーは、こうしたDX普及による顧客コミュニケーションの変化に対応することができるようなMPSを開発/提案する必要があると、IDCでは考えているという。
IDC Japan イメージング,プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネージャーの石田英次氏は、「国内MPS市場は大きな成長を遂げているが、まだ限られた先進的な企業が導入しているにすぎない。デジタルトランスフォーメーション(DX)によって国内市場が大きく変化する中、さらなる市場拡大のためには、DX普及を前提とした革新的MPSの提供が求められる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内マネージドプリントサービス市場予測、2016年~2020年」にその詳細が報告されている。