発表によると、典型的なサイバー攻撃者の属性と、地下経済の相互接続的な性質は、過去数年間で著しく発展しているという。攻撃グループの大半にとって、核となる動機は、自らの影響力と金銭的利益の向上であり、最終的にはこの2つの動機を達成するため、オペレーションの作成と拡張において、以前に増して高度な管理原則を適用しているという。企業は、攻撃者の内部事情を利用することで、彼らの組織構造を妨害し、自社のリスクを軽減できるとしている。
攻撃者の「バリューチェーンモデル」
敵対者は、様式化されたオペレーションモデルと、正規の事業構造と極めて類似した「バリューチェーン」を作成し、攻撃のライフサイクル全体を通じ、サイバー犯罪組織にとっての投資対効果(ROI)を高めることが一般的だという。
エンタープライズレベルのセキュリティリーダー、規制当局、法執行機関が、攻撃者の組織を妨害しようとする場合、こうした地下経済のバリューチェーンのあらゆる工程を理解することが先決だという。
攻撃者のバリューチェーンモデルは、一般的には次の重要な要素で構成される。
・人材管理:特定の攻撃要件を満たす上で必要なサポート「スタッフ」の獲得、審査、支払い。攻撃者のスキルベースのトレーニングや教育も、このカテゴリーに入る。
・オペレーション:攻撃のライフサイクル全体を通じた情報や資金のスムーズな流れを保証する「経営チーム」。このグループは、すべての工程でコストの削減とROIの最大化を積極的に模索する。
・技術開発:研究、脆弱性の悪用、自動化など、所定の攻撃の実行に必要な技術的専門知識を提供する、前線の「労働者」。
・マーケティングと営業:同部門は、地下市場での攻撃グループの確固たる評価と、潜在的な購入者のターゲット層による違法商品の知名度と信頼を確立する。
・アウトバウンド物流:これには、大量の盗まれたクレジットカード情報、医療記録、知的財産など、購入者への商品の納品を担当する人とシステムの両方が含まれる。
バリューチェーンを妨害し、先進のエンタープライズ保護を提供
HPEでは、こうした組織的な攻撃者からより効果的な防御を実現するため、エンタープライズセキュリティの専門家に対し、次のようなさまざまなアプローチを推奨している。
・収益の削減:「HPE SecureData」など、包括的な暗号化ソリューションを実装することで、企業への攻撃から敵対者が得られるであろう金銭的利益を制限。保存データ、実行データ、使用データを暗号化し、情報を攻撃者にとって無用な形式とすることで、彼らの営業能力を制限して、収益を抑える。
・ターゲットプールの削減:モバイルやIoTの普及により、すべての企業にとっては、潜在的な攻撃エリアが大幅に拡大している。企業は、セキュリティを自社の開発プロセスに組み込んで、デバイスの種類を問わず、データ、アプリ、ユーザー間のやり取りの保護に力を注ぐことで、敵対者の攻撃をより効果的に軽減おおよび妨害する必要がある。
・敵対者から学習:「偽装グリッド」などの新技術は、本物そっくりに複製したネットワーク内を攻撃者に進ませることで、彼らを陥れ、監視し、学習する方法を実現している。企業は、こうした情報を活用することで、本物のネットワークをより効果的に保護し、同種の攻撃を開始前に妨害し、攻撃者の進行を遅らせることが可能。