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マルハニチロは「Umios」へ──次の100年に向けた「カルチャー変革」の波に乗って変わり続ける

第38回:マルハニチロ 執行役員 古田昌代さん

 145年の歴史を持つマルハニチロが、大規模なカルチャー改革に乗り出した。2026年3月には社名を「Umios(ウミオス)」に変更し、あわせて本社を新たなイノベーションの集積地・高輪ゲートウェイに本社を移転し、国内外のアカデミアやスタートアップとの連携を強化する。伝統ある日本企業が、カルチャー改革のためになぜここまで徹底的に変えるのか。改革の先陣を切る、DX・総務管掌の執行役員 古田昌代さんに聞いた。ちなみに、同社が提供する生年月日をもとにした性格診断「誕生魚診断」で、古田さんはマグロだったという。泳ぎ出したら止まらない特性を垣間見えた気がする。

システム統合の修羅場で刻まれた「遠回りしてコミット」の精神

酒井真弓(以下、酒井):古田さんが2025年に執行役員になるまでに、どんなターニングポイントがあったのですか?

古田昌代(以下、古田):まず私の経歴からお話しすると、1990年にマルハのシステム子会社に入社しました。大手町のマルハ本社に毎日通って、システムの要望を聞き、クレームや問い合わせを持ち帰って対応する日々でした。

 大きなターニングポイントは、2007年のマルハとニチロの経営統合ですね。歴史ある企業同士の統合には、難易度の高いシステム統合がつきもの。水産系、畜産系、加工食品系の3つの事業に分けて、それぞれリーダーを立てて進めていくことになったんです。

 水産系と畜産系はスムーズに方向性が決まりました。ところが、ある部分は「バランス良くやりましょう」と。システムに携わる方はここでピンと来ると思いますが、こういうときはどちらかに寄せないと大抵大きなトラブルが起きるものです。

 現場としては、どちらかに統一してほしいし、業務も合わせてもらいたい。どちらも歴史と誇りがあるから、「うちのやり方が正しい」となる。統合前後は特に、お互いが譲れない状況だったんです。

 そして、私はなぜかその一番ハードルが高いと思っていた“ある部分”のリーダーを任されてしまったのです。変わり者だったからでしょうか(笑)。今でこそ女性リーダーは珍しくありませんが、当時はまだイレギュラーな存在。毎週木曜10時から、自分より年齢も立場も上の人たちが20人ずつ集まって、それぞれ100以上あるシステムのJANコードはどっちだ、ITFコードはどっちだと意見が飛び交う。そんな会議の進行は、正直怖かったですね(笑)。

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株式会社マルハニチロ 執行役員 古田昌代さん

酒井:どのように解決されたんですか?

古田:当時の統合推進室長が、私にいろいろなことを教えてくれる上司で、「会社の統合を成功させるのが先決。だから今はシステムで苦労してくれ。人の気持ちを大事にした対応をしてほしい」とアドバイスしてくれたのです。

酒井:システムの論理だけで突き進むと、もっと大事なものを失いかねないということですね。

古田:それで、「2倍、3倍のお金はかかるけど、やってやりますよ」と腹が決まりました。よりよい統合のために、時間も忘れてハードに働きましたね。この経験は今も生きています。タイパ、コスパと言いますが、遠回りこそ一番の近道と理解できたのです。今、力を入れているカルチャー改革も、無理に急がず一人ひとりの気持ちを大切にしながら進めています。

「デジタルの力でまだやれることがある」本社駐在で感じた可能性

古田:2つ目のターニングポイントは、2014年頃。システム統合が落ち着き、手作業からのIT化を目指そうと本社の水産系部門に駐在することになりました。事業部の中にポツンと1つ席を用意されたとき、「何をしようかな?」となったのを覚えています。

 それまではシステム子会社の人間として毎日通って、要望を聞いてシステム化し、システム品質のクレームを受けたり、システム障害では謝るという業務スタイルの繰り返しでしたが、満足していました。でも、それはすごく狭い世界の話で、数ある直線のうちの1本でしかなかったとそのとき気づいたんです。本当はもっともっとたくさんの線があって、それらを変えられるのがデジタルの力だと。

 情報システムをやっていた強みは、どこに行っても知り合いがいること。工場もグループ会社も入り込みやすかった。それこそ「ルーターって何?」に始まって、皆さんが課題や要望を積極的に話してくれる。それに応えているうちに、コスト削減や業務改善の成果がどんどん上がっていきました。

酒井:現場に常駐することで視野が広がったのですね。

古田:でも、さらに守備範囲を広げないと本来やりたいことには届かない。駐在から出向となり、2018年にマルハニチロに転籍し、情報システム部の業務改善推進室を任されました。

 そこで気づいたのが、システムだけのことではなくDXの推進を強化する必要性でした。一般に情報システム部門とDX部門を分けるケースがありますが、別部門の場合、対応スピードが落ちると思い、2022年にシステム部門を包含するDX推進部を新設しました。デジタルを使って業務改革する部署をすべて一つの組織にしたのです。同時に、「新しい働き方委員会」を「DX推進委員会」に改めて発足し、「MNDX(マルハニチロDX)」を本格始動させました。

 その中心にあるのが、現在のDX推進部にある「カルチャー改革推進室」です。前身は業務“改善”推進室、次に業務“改革”推進室、そして今の名前へと当社の対応フェーズがわかる組織名にしています。

酒井:出世魚みたいですね。名前を変えることで、自分たちの現在地や目指す方向性を意識できますよね。

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(左)ノンフィクションライター 酒井真弓さん

古田:そうなんです。先の読めない時代、今のカルチャー改革が進んだら次に何が待ち受けているのか、それはやってみないと分からない。だからこそ、情報システム機能とDX、そしてカルチャー改革を切り離すべきではないと考えています。

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現社長が放った「なんかおかしくないか?」で原点回帰

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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