長期的には中小企業も含め利用拡大が見込まれる
今回の調査によると、データセンターサービスの利用は、現在は大企業が中心であるものの、長期的には中小企業も含めさらなる拡大が見込まれる。ただし、データセンターサービスを“利用しない”理由として「セキュリティ上の不安」が1位となっており、今なおセキュリティに対する心理的不安を持つ企業も多いことがわかった。これが、データセンターサービスの利用拡大に向けて大きな課題となっていると考えられる。
また、データセンターサービス事業者の選定においては、価格と並んで「信頼性/稼働率」も重視されており、大企業を中心にその傾向が強いことがわかった。大企業では、高い運用品質が求められることが多いためとみられるが、これは事業者から提供されるデータセンターサービスの品質に対し、企業が不安を感じていることの裏返しでもあると考えられる。
クラウド型データセンターサービスの利用が進み、先進的取り組みへの活用も
さまざまなデータセンターサービスが提供されている中で、コスト削減や導入・展開の迅速化などの需要を背景に、クラウド型データセンターサービスの利用が進んでいる。現在は、バックアップやデータ保存など補助的な業務での利用が多いが、IoT(Internet of Things)やビッグデータの普及と共に注目されているハイパフォーマンスコンピューティングや、全社的な戦略的クラウドファースト環境の実現など、先進的な取り組みへの活用も広がっている。
データセンターサービス市場は、今後10年間はプラス成長を続ける可能性が高いとIDCではみている。それをより確実なものとするために、データセンターサービス事業者には、「セキュリティや信頼性に対して利用者が抱く根強い不安感を払拭するための施策が強く求められている」とIDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリストの吉井誠一郎氏は分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2016年 国内データセンターサービス ユーザー調査」にその詳細が報告されている。このレポートでは、データセンターサービスの利用状況、利用中のデータセンターサービス事業者、クラウド型と非クラウド型データセンターサービスの利用状況、データセンターの立地条件などについての調査結果をまとめている。