シスコシステムズはどの領域でも他社を圧倒する実績を上げる
データセンターに導入されたイーサネットスイッチ、ADC(Application Delivery Controller)、WAN最適化から成る国内データセンターネットワーク機器市場の成長は、データセンターインフラストラクチャの拡張が続いていることによるもの。企業のクラウド活用の継続的進展や、モバイルアプリケーションの活用がよりいっそう消費者の生活に密接に結び付く動きが背景にある。
一方で、製品分野別に見ると、勢いに差が見られる。データセンター向けイーサネットスイッチ市場は、クラウドやモバイルサービス基盤向けに需要が大きく伸びたが、ADCとWAN最適化は前年を下回った。これらの伸び悩みの背景には、市場の成熟化とアプリケーション利用環境の変化があるとIDCではみている。
大きな成長を達成した2015年のデータセンター向けイーサネットスイッチ市場においては、シスコシステムズ、ブロケード コミュニケーションズ システムズ、アリスタネットワークスが市場拡大をけん引した。ブロケード コミュニケーションズ システムズは、データセンター内ネットワークの拡張性を高めるレイヤー2ファブリック技術の浸透をけん引し、確固たる地位を築いた。
アリスタネットワークスは、高速度ポートを必要とするクラウド事業者などから特に支持され、売上を前年の2倍以上に伸ばした。また、首位のシスコシステムズは、クラウドITインフラストラクチャ向けおよびトラディショナルなデータセンター向けのいずれの領域でも、引き続き他社を圧倒する実績を上げている。
クラウド、モバイルを原動力に2015~2020年の年間平均成長率は2.8%と予測
データセンターネットワーク機器市場をけん引する原動力であるクラウドやモバイルアプリケーション活用は、不可逆なトレンドとして今後も続くとみており、同市場もそれと共に成長を続けるとみている。
データセンターネットワーク機器市場全体の支出額ベースでの2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は2.8%になると予測している。また、データセンター向けイーサネットスイッチ市場の2015年~2020年のCAGRは3.2%と、今後もデータセンターネットワーク機器市場をけん引するとみている。
保守的な傾向が強いネットワーク領域だが、データセンターネットワークは革新性が求められ、変化に富んだ分野である。したがって、ベンダーには継続的な変化や進化が強く求められる。
「データセンターネットワーク機器市場では、アーキテクチャ競争が大きなポイントになる。データセンターネットワークアーキテクチャの先進性や運用における革新性を競争の主眼に置いて、次世代アーキテクチャの主役の座を勝ち取ることを狙うべきである」と、IDC Japanコミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は述べている。
今回の発表は、IDCが発行した「国内データセンターネットワーク機器市場予測、2016年~2020年:イーサネットスイッチとADC」にその詳細が報告されている。また、「国内データセンターネットワーク機器市場シェア、2015年:イーサネットスイッチとADC」では、2015年のデータセンターネットワーク機器市場におけるベンダーシェアとベンダー動向を分析している。