およそ3分の1の企業で運用ミスによる障害/トラブルが毎月発生
システム運用管理における課題について質問した結果、「運用管理担当者のスキルが不足している」が32.0%で最も多い回答となった。その次に「運用管理の自動化ができていない」が30.7%、「システムの一元管理ができていない」が30.4%で続いている。
過去4回の調査においても、担当者のスキル不足は最も多い回答となっており、深刻な課題となっている。そのスキル不足によって、運用管理の自動化や一元管理ができない状況を招いてしまっているということが考えられる。また、運用管理担当者のスキル不足は運用ミスを起こしやすく、障害やトラブルの増加につながっていくことが懸念される。
運用管理担当者の運用上のミスで、障害やトラブルが発生する頻度について質問した。その結果、ほぼ毎日が1.3%、週に数回程度が7.1%、月に数回程度が23.6%となり、合わせて32.0%の企業が毎月運用ミスによる障害やトラブルを経験していることが分かった。
さらに、サーバーの運用台数が100台以上の企業になると、ほぼ毎日が2.6%、週に数回程度が12.1%、月に数回程度が29.3%となり、毎月障害やトラブルを経験している企業の割合が44.0%にまで上昇している。サーバーの運用台数が多いと障害/トラブルの発生頻度が高くなっている傾向が示されている。
クラウドサービスでは「利用前に試算したコストよりも高くなっている」が課題に
近年、クラウドサービスを利用する企業が増えている。そこで、クラウドサービスを利用している企業に対して、クラウドサービスの管理における課題について質問した。IaaS(Infrastructure as a Service)を利用している企業では、「クラウドのサービスレベルが不安定である」が40.4%と最も多い回答となった。サービスレベルが安定していない状況が多くの企業で発生している。
一方、PaaS(Platform as a Service)を利用している企業では、「サービスのプロビジョニングが自動化できていない」が34.1%で最も多い回答となった。リクエストに対して迅速にサービスを用意できていない状況が見受けられる。
また、IaaSとPaaSの両方で上位の課題として挙がっているのが、「利用前に試算したコストよりも高くなっている」で、それぞれ回答率が28.8%と25.0%になった。実際にクラウドサービスを利用してみると、試算していたコストを上回ってしまうという問題も発生していることが分かった。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は、「運用管理担当者のスキル不足は深刻な課題であり、障害やトラブルの原因にもなる。さらに、今後のクラウドサービス利用拡大に伴い、新たな運用管理の課題も浮き彫りになってくる。IT業界全体を挙げて運用管理のスキルアップに向けた取り組みを行うことが急務である」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2016年 国内システム運用管理市場 ユーザー実態調査」にその詳細が報告されている。このレポートは、アンケート調査結果を基に、国内ユーザー企業におけるシステム運用管理の実態について集計/分析したもの。システム運用管理の課題、システム運用管理ツールの利用状況、システムログデータの活用状況、クラウドサービス管理やモバイル管理の状況について、詳細に分析を行っている。