2015年のBPOドキュメントサービス(出力)は1,890億円と大きな割合を占める
ドキュメントアウトソーシングサービスは、企業におけるドキュメントの印刷/スキャン/処理といったあらゆる業務に関するアウトソーシングサービス。このサービスは、欧米を中心に市場が大きく拡大しており、国内での動向が注目される。
IDCでは、ドキュメントアウトソーシングサービスを、ドキュメントに関するビジネスプロセス全体をアウトソーシングするBPO(Business Process Outsourcing)ドキュメントサービス、集中コピーセンターの管理を行うインハウスプロダクションプリントサービス、イメージのスキャンとスキャンしたドキュメントの保管をアウトソーシングするイメージング/ドキュメントアーカイブサービス、外注印刷を最適化するプリントソーシング/プロキュアメントサービスに分類し、それぞれについて国内市場の状況と売上実績を調査した。
2015年の国内ドキュメントアウトソーシングサービス市場の中で最大の売上となったのは、2014年と同様にBPOドキュメントサービスだった。中でも、請求明細やダイレクトメールなどの印刷/発送を一括してアウトソーシングするBPOドキュメントサービス(出力業務)は1,890億4,000万円と大きな割合を占めている。
また、印刷だけではなく、返送された書類の入力やエンドユーザーからの問い合わせ対応など、関連する業務全体をアウトソーシングする、BPOドキュメントサービス(関連業務全般)は580億8,700万円だった。その他の分野の売上は、インハウスプロダクションプリントサービスが131億7,300万円、イメージング/ドキュメントアーカイブサービスが207億9,000万円、プリントソーシング/プロキュアメントサービスが41億4,000万円となっている。
各種制度改革でBPOドキュメントサービス(関連業務全般)市場が拡大
国内ドキュメントアウトソーシングサービス市場は、2016年以降も大きな成長が期待されており、IDCでは2015年~2020年のCAGRを7.1%と予測している。分野別に見ると、最も売上額の大きいBPOドキュメントサービス(出力業務)の2015年~2020年のCAGRは7.3%、BPOドキュメントサービス(関連業務全般)の同期間のCAGRは9.9%と最大の伸びが予測されている。
BPOドキュメントサービス(関連業務全般)の高い成長予測は、マイナンバー関連の業務が一段落したものの、ストレスチェック制度、電力小売/ガス小売自由化など、業務アウトソーシングを促進するような制度改革が始まり、こうした動きがベンダーの売上拡大に貢献すると考えられるためだ。
一方で、インハウスプロダクションプリントサービスの同期間のCAGRは0.8%、イメージング/ドキュメントアーカイブサービスは1.7%、プリントソーシング/プロキュアメントサービスは0.5%と、BPOドキュメントサービスと比較すると市場の伸びは限定的であるとIDCではみている。
IDC Japan イメージング,プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネージャーの石田英次氏は、「国内ドキュメントアウトソーシングサービス市場は、マイナンバー対応などの制度改革の流れを受けて順調に拡大している。ベンダーは、こうした法令遵守のためのアウトソーシング利用拡大を、他の業務改善アウトソーシングを提案するためのきっかけとして利用するべきである」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内ドキュメントアウトソーシングサービス市場予測、2016年~2020年」にその詳細が報告されている。