今回の調査では、ストレージ容量の観点で外部サービス利用へのシフトを調査した。保有ストレージ総容量に占める外部サービスの割合について、パブリッククラウドサービス利用者では「50%以上」とした回答の比率が13.5%だった。また、プライベートクラウドサービス利用者では「50%以上」とした回答の比率が22.7%だった。
特にプライベートクラウドサービスでは、ITインフラストラクチャにおける共通基盤として利用されるケースが多く、外部サービスで管理されるストレージ容量の割合が高い結果になったとIDCでは分析している。サービス利用へのシフトが進む理由には、ストレージ運用管理コストの削減、柔軟な拡張性、迅速な導入/構築などがある。
デジタルトランスフォーメーションの実現を支えるプラットフォームとして、ITインフラストラクチャの柔軟性や伸縮性を高めることが重要となっている。柔軟性を高めるには、サービス利用へのシフト、中でもクラウドサービスの利用が選択肢になる。
また、オンプレミスにおいても、ハイパーコンバージドインフラストラクチャなどによって、柔軟性の高いITインフラストラクチャを構築できることに加え、リースや従量課金モデルといったファイナンスオプションを採用することで、支出モデルの柔軟性を高めることが可能だ。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ マーケットアナリストの宝出幸久氏は、「クラウドをはじめとするサービス利用へのシフトやファイナンスオプションの採用によって、支出モデルのトランスフォーメーションを進め、柔軟性の高いITインフラストラクチャを実現すべきである」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2016年 国内エンタープライズストレージシステム市場 支出モデルのトランスフォーメーション分析」にその詳細が報告されている。このレポートでは、国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場および国内エンタープライズストレージシステム市場における支出モデルのトランスフォーメーションについて分析している。クラウドを始めとするサービス利用へのシフト、リースや従量課金モデルといったファイナスオプションの動向やSoftware-Defined Storageの与える影響について考察している。