現時点の支出の中心はモビリティで徐々にクラウドの利用も拡大
国内第3のプラットフォーム市場における2016年の中堅中小企業分野の支出の前年比成長率は8.3%を見込み、2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は6.0%と国内中堅中小企業IT市場と比較して高い成長率を予測している。現時点の支出の中心はモビリティで、徐々にクラウドの利用も拡大している。
なお、産業分野別で見た場合、金融業、製造業、流通業などで比較的高い成長率を見込んでいる。これらの産業では、営業担当者、店舗、または生産拠点といった現場でのモビリティの活用に伴うIT支出がけん引している。加えて、データアナリティクスを活用して売上拡大、生産性向上を模索する動きもあり、今後も利用ソリューションの拡大が見込まれる。
「第3のプラットフォーム」は「大都市圏」企業での導入が進んでいる
「国内中堅中小企業ユーザー調査」においては、中堅中小企業の「第3のプラットフォーム」ソリューションの利用動向について「大都市圏」(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県)と「その他地域」との間で比較を行った。その結果、各ソリューションにおいて「大都市圏」の企業で導入率が進んでおり、両者の利用動向に顕著な差異が見られる。
その要因を分析した結果、大都市圏には経営課題のために積極的にITを活用する姿勢の企業が多く、「第3のプラットフォーム」ソリューションも課題解決のために採用している。その他の地域では、IT活用は最低限に抑えており、課題解決のためのIT活用に消極的な企業が多いことから、「第3のプラットフォーム」ソリューションの利用も停滞していることがわかった。
以上のように、中堅中小企業における「第3のプラットフォーム」ソリューションのIT支出動向は拡大が見込まれているが、地域別にみると、IT利活用における企業の期待度の違いによってソリューションの活用状況に大きな差異がある。
IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は、「ITサプライヤーは、第3のプラットフォームの利用を拡大させるために、ユーザー企業に対して自社が抱える経営課題解決に即した提案を強化することでユーザー企業のIT活用の期待度をあげることが求められる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2016年 国内中堅中小企業IT市場 第3のプラットフォームの利用動向分析アップデート」にその詳細が報告されている。このレポートでは、3月中旬に実施した国内中堅中小企業ユーザー調査結果、主要ベンダー、SIerなどへのヒヤリング調査結果から、「国内第3のプラットフォーム市場」の中堅中小企業分野のIT支出規模予測を提供しているほか、「大都市圏」と「その他の地域」の採用動向とその要因に関して分析している。