2016年のユーザー支出額は5兆270億円の見込み
国内IoT市場におけるユーザー支出額について、2016年の見込み値は5兆270億円。そして2016年から2021年まで年間平均成長率(Compound Annual Growth Rate: CAGR)17.0%で成長し、2021年には11兆237億円に達するとIDCではみている。
農業フィールド監視、小売店舗内個別リコメンデーション、院内クリニカルケア、スマートグリッド、テレマティクス保険、ホームオートメーション、スマートアプライアンスといったユースケースは、2016年~2021年のCAGRが25%を超える高い成長が期待される。
またIDCの定義する「主要産業分野(14業種)」において、2016年時点で市場の多くを占めるのは製造業、運輸/運輸サービス、官公庁、公共/公益になる。こうした産業分野では以前からさまざまな組み込み系の機器/インフラに対して支出を行ってきており、そうした機器/インフラの運用効率の向上や、機器/インフラを通じたエンドユーザー満足度向上などを実現する上で、IoTを活用することが不可欠になりつつある。
IoTビジネスを継続的成長には新たなユースケースの立ち上げが必要
国内IoT市場の力強い成長の背景には、2020年の東京オリンピック開催に向けた景況感の上向き、IoTを利用する上での技術障壁/コスト障壁の低下、IoTを取り巻く法規制や支援策の変化が影響している。
しかしながら、2020年以降もベンダーがIoTビジネスで継続的な成長を続けていくためには、顕在化する社会課題に対応すべく、新たなユースケースの立ち上げに向けて、産業分野の開拓や新興企業との提携を進めることが必要になる。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの鳥巣悠太氏は「第3のプラットフォームを中心としたITを駆使することで、企業はIoTをベースとしたサービス提供者へ自らを変革すること、すなわち『デジタルトランスフォーメーション(DX)』が可能になってきている。企業がIoT分野におけるDXを通じエンドユーザーに価値あるサービスを提供する上で、ITベンダーは企業からの要望に受身で対処するだけでなく、自らが率先してビジネスモデルを提案することが求められる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内IoT市場 産業分野別/ユースケース別予測、2017年~2021年」にその詳細が報告されています。