2016年11月に実施した最新の調査の結果、BIツールの導入率は全体で37%(図1)、従業員数規模2,000人以上の大企業においては80%に達した(図2)。これは、3年前の2013年11月の調査時点で利用中または導入中であった企業と、3年以内の導入を予定していた企業の割合の合計を超えており、BIツールを導入する企業が順調に増えていることが明らかになった。
一方、BIツールを導入している企業の中で、どの程度の従業員がBIツールを使っているのか尋ねたところ、全従業員の2割未満という企業が過半数に、1割未満という企業も全体のおよそ3分の1に達しており、企業内でBIツールを利用している従業員は一部にとどまっていることも明らかになった(図3)。
この結果について、ガートナー ジャパン リサーチ部門マネージング バイス プレジデントの堀内秀明氏は次のように述べている。
「今回の調査の結果、BIツールは3年前の計画を上回るペースで導入が進んでいることが明らかとなりました。3年後の導入状況が計画を上回る傾向は、2010年の調査以来続いています。この傾向は、ビッグ・データに関するブームなどの影響を受けて、データ活用に対する関心が高い水準で推移していることに加え、セルフサービスBIやクラウドBIなど、従来よりも導入へのハードルが低い製品やサービスが登場していることにも後押しされています」。
「しかしながら、BIツールを利用している従業員が限定的であることから、BIツールを導入した企業でも、現時点ではその利用が完全に浸透していないことがうかがえます。BIツールを導入したものの、なかなか利用が広まらないという企業では、継続的かつ組織的にBIを推進する必要があります。加えて、ガートナーでは、単一のBIツールでユーザー部門からの幅広いBIのニーズに適時対応することは難しいと考えています。現在利用中のツールの特性が、BIを利用できていない従業員のニーズとマッチしているかを確認し、マッチしていない場合には、追加でのツール導入を検討する必要があるかもしれません。そのような場合、 セルフサービスBIとはどのようなものかを理解した上で、それが自社のデータ活用の高度化や効率化に寄与し得るものか否かを吟味するとよいでしょう」。
なお、ガートナーでは5月23~24日に「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2017」を開催する。サミットでは、ガートナーの国内外のアナリストが、デジタル・ビジネスの世界へと続く道を進むに当たり、急速に拡大し続けるデータやアナリティクスの環境に適切に対応するためのさまざまな知見を提供するとしている。