2016年の売上額規模は前年比9.9%増の604億4,000万円
2016年の国内MPS市場の売上額は604億4,000万円で、前年比9.9%の増加だった。IDCでは、同市場の2016年~2021年における年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)を11.3%、2021年の市場規模を1,033億円と予測している。
MPSは、企業のオフィス出力環境の現状を分析した上で、最適な出力環境を構築、その環境を継続的に維持/運用していくアウトソーシングサービスになる。MPS導入によって、出力環境に関する総保有コスト(TCO:Total Cost of Ownership)の把握/削減、出力管理業務プロセスの効率化、環境負荷軽減といった効果を期待することができる。
IDCが調査を開始した2009年以来、国内MPS市場は常に前年比成長率15%前後のペースで成長を続けてきた。しかしながら、2016年の実績は、昨年のIDCの予測17.1%を大きく下回る9.9%の成長に留まった。近年、MPSのコモディティ化にともなって、プリント環境改善ニーズの高いユーザー企業への販売が一巡したこと、当初期待されていたMPSをベースとした高度なソリューション提供が進んでおらず、ユーザー企業の高い期待に応えられなかったことなどが、成長鈍化の原因であるとIDCではみている。
DXを前提とした高度なソリューションを付加できるかが再成長のカギ
一方、国内IT市場においては、モバイル、クラウド、IoT、AI/認知システムといった新技術を前提とした、ビジネスモデルの変革があらゆる産業分野で起きようとしている。デジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれるこうした動きは、プリント環境にも大きな影響を与える可能性がある。
こうした中で、MPSによって得られた顧客との強固な関係を使って、DXを前提とした高い付加価値を持つソリューションの展開を始めたベンダーが出始めている。まだ、MPS市場の売上全体に占める割合は小さいものの、こうした動きが今後、国内MPS市場を再び高い成長に導くことができるのか、IDCでは注目している。
IDC Japan イメージング,プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネージャーの石田英次氏は「2016年、国内MPS市場は成長が鈍化、市場自体が大きな転換点を迎えている。MPSで確立することができる強固な顧客関係を活用し、DXを前提とした高度なソリューション展開が再成長のカギとなる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内MPS/ドキュメントアウトソーシングサービス市場予測、2017年~2021年:グローバル市場動向との比較」にその詳細が報告されている。