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IBM THINK 2018が開幕、データとWatsonでもたらされるビジネスの変革


 2018年3月19日、米国ラスベガスで「IBM THINK 2018」が開幕した。これまでIBMはクラウド系ソリューションのお披露目となる「InterConnect」と、コグニティブソリューションの「World of Watson」の2つのイベントを開催してきたが、今年からはそれらを「THINK」という1つのイベントに統合した。背景にはクラウドとコグニティブが、もはや切っても切れない関係になっており別々に語れなくなったことがあるのだろう。

Watsonの法則と呼ばれる新たな変革期に、IBM自身もデータの時代に合わせ変革した

IBM CEO ジニー・ロメッティ氏
IBM CEO ジニー・ロメッティ氏

 「25年ごとにビジネスとテクノロジーのアーキテクチャが大きく変革するタイミングがある」―こう語るのは、オープニング基調講演のステージに登場したIBM CEO ジニー・ロメッティ氏だ。ここ60年間を振り返っても、テクノロジーが2回大きく進化している。かつてムーアの法則があり半導体の集積率は18か月で2倍になると言ってきたが、それもすでに覆されている。その後には、ネットワークの価値は、それに接続する端末や利用者の数の2乗に比例する、というメトカーフの法則もあった。

 ここからさらに、第3の指数関数的な変化が起こりつつある。それはデータをAIで学習することで、機械が全ての人を超越するようになることだ。「これは後に、Watsonの法則と呼ばれるかもしれません。Watsonの法則の世界では、ビジネスの変革、社会の変革、IBMの変革という3つを意識して欲しい」(ロメッティ氏)

 企業がビジネスの変革を行うためのデジタルプラットフォームを、IBMでは提供している。企業は今や複数のプラットフォームを利用するのも当たり前だ。それには自前の環境もあれば、パブリッククラウドもある。パブリッククラウドの中で、隔離し自分たちだけ使うものもある。これらがIBM Cloudとして一貫した形で提供されている。

 このIBM Cloudを使い、通信会社のOrangeが始めたモバイル型のオレンジ銀行では、銀行処理の50%でWatsonを使い銀行業務の効率化を図っている。もちろん、IBM自身もWatsonをさまざまな領域で活用している。たとえばセキュリティでは、30年間に発生した数100万件のインシデント情報を蓄積して、それをWatsonで分析し攻撃への対応を行っている。

 Watsonで学習した結果をさまざまなプラットフォームで利用することで、より良い判断ができるようになる。IBMでは人財管理でもWatsonのコグニティブを導入している。たとえば人材採用の際にもWatsonの学習結果を利用する。Watsonを利用したことで、人事プロセスの効率化は年間で1億5,000万ドルにも達しているとのことだ。この人財管理におけるWatsonの学習結果は、実は他社のクラウドプラットフォームであるWorkdayのプロセスに組み込まれ利用されている。

 このように、Watsonでの学習結果からさまざまな価値が生まれている。とはいえ、Watsonだけ、つまりはマシンだけで何かを実現するのではなく、人とマシンの共存が重要になる。Watsonにより、マシンが専門職の人の手伝いをするのだ。

 たとえば医療領域では、すでに医師が診断する手伝いをWatsonが行っている。医療現場などではすでにデジタルプラットフォームの導入を受け入れており、そこで医療の莫大な情報を学習している。それを使って、医師などの判断の高度化を実現している。ロメッティ氏は、データとWatsonでビジネスは指数関数的に成長できると強調する。

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ビジネスの変革から社会の変革へ

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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