情報システム戦略とは~情報システム戦略の意義~
皆さんは車の運転をしますか?日本で車を運転するには、免許を取得し、車検に通った車を用い、交通に関連する法規を遵守することが求められます。もし免許や車検制度、道路交通法などの遵守すべきルールが一切存在せず、誰でも好き勝手に運転できる社会だとどうでしょう。今のように秩序ある車社会とは程遠い状態になってしまいます。
同様に、組織におけるシステム構築やサーバー導入に何の取り決めもなく、社員が誰でも好き勝手にサイトを立ち上げることができ、システムを使った様々なサービスを採算無視で提供できる環境だとどうなるでしょうか。情報漏えいなどセキュリティ事故の頻発、サービス品質の悪化、稼動後ほったらかしになったサーバーの乱立などによって関係者の満足度は低下、さらに費用は膨らむ一方、という悲惨な状況が容易に想像できます。
これまでの話で情報システム戦略の必要性をお分かりいただけるでしょう。本連載でも「それぞれの施策や個別プロジェクトは全体の目標や方針を踏まえて推進しましょう」と説明してきましたが、ここで参照される全体の目標や方針が情報システム戦略です。システムの導入を推進する立場の人はもちろん、利活用する人を含む関係者全員が理解し遵守すべき大方針です。そしてこの情報システム戦略を策定するのがCIOの重要な役割です。
情報システム戦略は誰が策定するのか
情報システム戦略はCIOが一人で策定するわけではありません。通常は、経営陣、情報システム部門の部門長、関係する部門の部門長などからなる委員会を設置し、委員会メンバーが協議し策定していきます。CIOはこの委員会のなかで中心的な役割を果たします。
企業は通常、経営目標や経営戦略に基づき企業活動を行っています。情報システム戦略もこれらに則さなければなりません。経営陣とも十分に議論し、以下のことをしっかり認識したうえで情報システム戦略の検討に入ります。
- 企業理念、中長期の経営計画、経営目標、経営戦略
- 経営陣が考えている、情報システム戦略の中長期の方針、目標、情報システムの将来像