今、企業はどんな人材を求めているのか
——まずは研修講師をご担当されている領域について、それぞれ教えてください。
海老原氏:情報戦略・要件定義・プロジェクトマネジメント分野の研修を担当しています。
柏木氏:私はクラウドと仮想化関連の研修を担当しています。
中山氏:主にJavaやCなどの言語系のコースを担当しています。
千野氏:Javaや開発系のコースを担当しているほか、企業の新人研修の企画から実施までご支援しています。
——指導の中でここ数年で変化していると感じる点があれば、教えていただけますか。
千野氏:新人研修をお客様と共創させていただく中で、アプリ開発をされている企業であれば、従来の研修に加え、「アジャイル」や「顧客志向」といったキーワードにおいて、早期から学習させたいというニーズが高まっていると感じています。組み込み系ではIoTが盛り上がっているので、IoTを理解する前段階として、ハードウェアの基礎知識を具体的に教えて欲しいというケースもありますね。
柏木氏:私はクラウドをはじめとした最新技術関連のコースを担当するチームで働いているのですが、クラウドのコースを受講される情シス部門の方が増えている印象があります。その背景には、これまでベンダー任せだったインフラや最新技術関連のところを、クラウドによって、以前より容易にシステムの構築ができるようになっていることが影響しているのかと。裏を返せば、内製化が進んでいるということなんでしょうね。
AIやデータ分析関連の話でいうと、2〜3年前は興味本位で受講される方がメインだったところから、最近では実務で使うようになった方が増えているとか、「こんな使い方をしたい」という要求が明確になっている方が増えているといった話も耳にしますね。それだけ受講される方が真剣になっていますので、我々講師陣ももっとがんばらなければと身が引き締まる思いをしています。
千野氏:アプリもクラウドと同じように、スクラッチ開発で0から開発するのではなく、「APIを活用して、なるべく簡単にいろいろなサービスと連携して開発しよう」という“APIファースト”の意識が高まっていると思います。弊社でも「API入門」というコースを立ち上げていますが、多くのお申し込みがありますよ。
海老原氏:私が要件定義をテーマにした研修に携わる中で感じるのは、年齢層の拡大です。以前は割と年齢の高い方が多かったところから、今では若い方たちも受講されるようになっていて。それは、より早い段階で若い方を戦力化したいという企業のニーズがあるからでしょう。
あとは、受講動機における変化として、「会社の方針でRPAの導入が決まっているので、それについての要件定義を学びたい」といった、流行りのキーワードに絡めて何か学びたいと思っている方が増えているのかな、という気がしています。
——企業のデジタルシフトにともなって、企業の教育に対する取り組みが積極的になっているということでしょうか。
千野氏:そうです。例えば、これまで受託型をベースとして開発されていたお客様から、「これからは自分たちから能動的に提案して、案件を勝ち取っていこう」という動きにシフトしているため、それが研修にも色濃く反映されているように思います。
中山氏:あとは、セキュリティに対する意識が変わってきたというか、たとえ要件定義に入っていなかったとしても、絶対に欠かせないものとして理解されるようになったと感じますね。
以前は、セキュリティの不備によって漏れるものといえば、個人情報とか社外秘の類でしたが、今では仮想通貨のように、お金に直結するものがリスクにさらされることになるので、その切実さは増しているのではないしょうか。