DevOpsの実践状況は前年調査から大きく上昇
DevOpsの実践状況について調査した結果(参考資料1)、「IT組織全体で実践している」という企業は12.6%となり、2017年調査(2017年8月に実施)から6ポイント上昇した。さらに「一部の部門/プロジェクトで実践している」は15.5%となった。
これらを合計した企業のDevOps実践率は28.1%となり、2017年調査の20.0%から大きく上昇しているという結果になった。また、「実践する具体的な計画がある」と回答した企業も16.7%となっており、2019年はさらにDevOpsの実践率が上昇することが見込まれる。
最もDevOpsの実践率が高い業種は、ソフトウェア/システム開発業(ソフトウェアベンダー、システムインテグレーター)で37.4%、次に通信/サービスプロバイダー業(通信、クラウドサービス、インターネットコンテンツプロバイダー、メディア)で32.2%となり、IT関連企業がDevOpsの実践を牽引している。
IT関連企業以外の中では、金融業で実践率が最も高く28.3%となった。金融では、FinTechビジネスの開発が加速しており、FinTech向けWeb/モバイルアプリケーションについてDevOpsに取り組む企業が増加しているとみられる。
DevOps実践企業の86.2%がコンテナ技術の使用
DevOpsを実践している企業の51.1%は、DevOps環境の構築にパブリッククラウドサービスを使用している。その中で主に使用されているクラウドサービスは、Microsoft Azure(使用率43.2%)、Amazon Web Services(同39.2%)、Google Cloud Platform(同25.7%)、IBM Cloud(同20.3%)になる。
DevOps環境にDockerやKubernetesなどのコンテナ技術を使用している企業は86.2%で、主に開発環境とテスト環境で採用されている。この結果から、DevOps環境ではコンテナ技術の活用が欠かせない存在になっていることが分かった。
41.4%の企業がDevOps実践による成果が出ていると回答
DevOpsを実践している企業に対して、現時点でDevOpsによるビジネス成果(売上、利益、顧客満足度の向上)がどの程度出ているかについて質問したところ(参考資料2)、「期待以上に大きなビジネス成果が出ている」が11.7%、「期待通りのビジネス成果が出ている」が29.7%になり、それらを合計した41.4%の企業がDevOps実践によるビジネス成果が出ていることが分かった。
さらに、ビジネス成果を出している企業の30%以上が「DevOpsサイクルの内製化」「DevOpsエンジニアの獲得/育成」「DevOpsに対するビジネス部門の理解/協力」が成果を出すためには重要であることとして挙げている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は、「DevOpsを実践する企業は拡大しているが、ビジネス成果につながっている企業はまだ半数にも満たない。成果を出していくためにはツールや技術の活用だけではなく、人材、組織、文化、プロセスをDevOpsに適合させていくことが重要である。これからDevOpsに取り組もうとしている企業や組織は、実践前にそうした点を確認しながら進めていく必要がある」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2018年国内DevOps市場 ユーザー動向調査」にその詳細が報告されている。レポートでは、アンケート調査結果をもとに、国内企業におけるDevOpsの実践状況について集計/分析している。また、アプリケーションの開発状況やIT運用管理に関する調査結果も掲載している。