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大企業では既に7割がアジャイル型を採用または採用予定――ガートナーが国内企業のアプリケーション開発を調査

  2019/02/21 13:30

 ガートナー ジャパンは、日本国内におけるアプリケーション開発(AD)に関する調査結果を発表した。この調査は、ガートナーが2018年4~6月に従業員数20人以上の日本企業を対象に実施したもので、回答者はユーザー企業のITリーダーであった(有効回答企業数715社)。

 ガートナーは、AD手法を大きく3つのカテゴリに分類している。

 ・ウォーターフォール(WF)型:従来の明確で固定された(とされる)要件を扱う手法。シーケンシャルな作業分解図を使用してプロジェクトのコストを予測し、プロジェクトにかかる期間と必要なリソースを特定する。

 ・反復型:段階的ウォーターフォールを基に、各段階またはイテレーション(反復)の後にフィードバックを返す明示的な機会を追加する手法。これにより、要件の不備を早い段階で検出し、解決できるようになる。

 ・アジャイル型:固定の期間とリソースを使用してデリバリを計画する手法であり、その基盤となるのは(作業分解図の形を取る)時系列ではなく、分解された機能である。

 なお、日本では反復型とアジャイル型の定義の違いは若干曖昧である。

非ウォーターフォール型の両手法の採用が今後拡大するものと予想

 上記のようなAD手法について、企業に対して現在および今後の採用方針を尋ねたところ、ウォーターフォール(WF)型を「採用中」と回答した割合が43%(継続/拡大28%、縮小15%)と最も多い結果となった。

 次いで、アジャイル型を「採用中」という回答率は17%(継続/拡大15%、縮小2%)、反復型が16%(継続/拡大15%、縮小1%)と続いた。また、「未採用:採用予定あり」がアジャイル型で13%、反復型で9%となっていることから、非WF型の両手法の採用が今後拡大するものと予想される。

 IT部門が関与しないビジネス部門主導の開発については、「採用中」の割合は14%(継続/拡大9%、縮小5%)と相対的に低いものの、「採用中:縮小」の5%に対して「採用中:継続/ 拡大」が9%、「未採用:採用予定あり」が6%と、少ないながら存在することから、今後、ビジネス部門主体の開発の採用は増えていく傾向にあることがうかがえる。

 実際に、モバイル・アプリの開発やロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実装をビジネス部門が主導する案件は増加傾向にあり、ベンダーやシステム・インテグレーター(SI)が顧客企業のビジネ ス部門と直接商談するケースも増えつつある(図1)。

図1:各開発手法に関する現在および今後の方針(出典:ガートナー[ITデマンド・リサーチ]/調査:2018年5月)

ウォーターフォール型手法のみでは対応が難しいという大企業の危機意識の表れ

 従業員数規模別にADの動向に注目すると、従業員数2,000人以上の大企業ではWF型を 「採用中」と回答した割合が86%に及んでいるが、そのうち「採用中:縮小」の割合が35%であり、徐々にWF型の採用を縮小していく意向が強いことも明らかになっている。

 一方、アジャイル型については、「採用中」の割合が継続/拡大と縮小を合わせて40%近くに上り、「未採用:採用予定あり」の割合も30%に達していて、実に70%ほどの大企業が採用中や採用予定の段階にあると回答している。

 この割合は、全体の30%(「採用中:継続/拡大」 15%、「採用中:縮小」2%、「未採用:採用予定あり」13%の合計、図1)と比べて大きく、大企業でのアジャイル型への関心が非常に高いことがうかがえる。

 大企業の場合、業務領域が広く、実施しているプロジェクトの数も多いことから、業務特性(アプリケーション特性)に 応じて、一部の領域にアジャイル型を採用するケースがあることも考えられる。

 しかし、「未採用:採用予定あり」の割合の高さも加味すると、環境の変化が激しいデジタル・ビジネスの時代にWF型の手法のみでは対応が難しいという大企業の危機意識が表れているとも捉えられる(図2)。

図2:アジャイル型開発手法に関する現在および今後の方針×従業員数規模
(出典:ガートナー[ITデマンド・リサーチ]/調査:2018年5月)

 ガートナー ジャパンのアナリストでシニア ディレクターの片山治利氏は、これらの調査結果を踏まえ、次のように述べている。

――デジタル・ビジネスの時代においては、企業を取り巻く環境は不確実で変わりやすく、当然ながら、アプリケーションに対するビジネス部門の要求も変化しやすいため、ADはビジネス部門の要求の変化に対して機敏で柔軟な対応を伴ったものであることが、一層求められています。

――それと同時に、アプリケーションには、企業のビジネスに積極的に貢献する(ビジネス価値を生み出す)ことが求められています。企業のアプリケーション・リーダーは、自社のビジネ ス価値の創出につながるよう、新しい手法を積極的に研究し、採用する姿勢を持つ必要があります。

――従来のアプローチを変えず、変化への対応を怠ることは、もはや許されない状況にあります。品質やコストの課題を早期に解決し、自社のビジネスに貢献するアプリケーションを 開発/デリバリできる次元へと、IT部門は自らシフトしていく時期に来ています。

 なお、ガートナーは3月12日(火)・13日(水)に東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)において「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキ テクチャ サミット 2019」を開催する。

 サミットでは、「アプリケーション戦略をネクスト・ス テージへ ~ビジネスの変革と成長を牽引せよ~」をテーマに、アプリケーション戦略とアプリケーション・アーキテクチャを刷新し、デジタル・ビジネス・テクノロジ・プラットフォームの構築を通して企業の変革と成長を実現するためのヒントが提供されるという。 

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  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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