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企業はテクノロジ人材の重大な影響を認識し早期に取り組むべき――ガートナーがテクノロジ人材関連の展望を発表

 今後の企業ビジネスを大きく変え得る変化(例:テクノロジの破壊的なインパクト、デジタル・ビジネス、デジタル・トランスフォーメーション)、バイモーダルITなどの新しいIT戦略のフレームワーク、人工知能(AI)をはじめとする先進テクノロジはもとより、以前から議論されているオープンソース・ソフトウェア(OSS)も、これまで以上に重要なものとなる。

 テクノロジは、かつてない高度化・進化の様相を呈しており、人材面で大きなチャレンジをもたらしている。すなわち今後は、テクノロジを駆使する人材がいる企業とそうでない企業で、競争力が大きく変わっていく。このことは、企業におけるテクノロジ人材の重要性がこれからさらに増すことを意味する。

テクノロジ人材の観点で重要となる予測

■2022年までに、60%以上の日本のユーザー企業のIT担当者は、無償のOSS、オンライン講座、有益な書籍の利用で、AIに関して「自分で運転」する基礎的なスキルを獲得する

 ここ数年のAIブームを受け、自分たちも始めようという思いから、ベンダーと概念実証(POC)を実施する企業が多く見られる。一方、AIに関して「自分で運転」することの必要性を理解したとしても、多くの企業は依然としてどこからスタートしてよいか分かっていない。

 2018年 以降、AIを自分で学ぶための有益な書籍やオンライン講座が国内でも多く登場しているため、はじめようと思えばすぐにでも学習に着手できる環境が整いつつある。

 ガートナーはこれまで、「どこからAIを勉強すればよいか」と悩む顧客からの問い合わせに対してAIを試行する機会を紹介し、すべてのケースで前向きな反応を得てきた。こうした状況は今後も継続し、また学習機会について確実に周知が進むと見込まれることから、2022年には、テクノロジ人材のほとんどが少なくともAIの基礎知識を自ら習得するようになると、ガートナーは予測している。

■2023年までに、人材の情報処理能力の改善に取り組まないIT部門の80%は、縮小戦略を取らざるを得なくなる

 AI、IoT(モノのインターネット)、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)、ブロックチェーンなど、新たなテクノロジの幅が広がり、それぞれが継続的なトレンドとして変化し続けている。こうした中、テクノロジがもたらす大量の情報を人間はどう処理すべきなのか、正しい情報を効率的に取得し、正しい判断を下して行動につなげる能力、すなわち「人材の情報処理能力」が極めて重要になっていく。

 IT部門がこうした能力に注目せず、これまでどおりのスピードで情報収集・判断・行動を続けると、顧客満足度(またはエンドユーザーの満足度)を素早く高めるという社会のトレンドに後れを取る恐れがある。

 さらに、顧客ばかりか社内の他部門からの信頼も失う可能性がある。ひいては、デジタル化の対応に関わるのが難しくなり、コスト削減や人員削減を核とする縮小戦略を取らざるを得なくなると、ガートナーは予測している。

■2024年までに、人月単価をベースとしたプロジェクトを実施する企業の90%は、OSSプロフェッショナル人材の獲得に苦慮する

 日本企業では、OSSに関する人材への投資を強める傾向が高まっている。ガートナーが 2018年2月に実施した調査では、OSSに対する自社の取り組み方を変えた企業において、「自社内での人材育成と、人材への投資を強めた」と回答した企業が39%と最も多くなった。

 注目すべき点は、「OSSのスキルを有する人材を雇用した」と回答した企業が、2017年の20.9%から27.2%へ6ポイント上昇したことだ。

 各企業が求めるOSSプロフェッショナルは、詳細な人材像こそ各社で異なるものの、今後はほかの分野と並び獲得競争に直面するようになる点では同だ。OSSプロフェッショナル人材の必要性は、クラウドやAIなど昨今の新興IT領域を各種のOSSがリードしている事実からも明らかだ。

 すべての企業は、そうした新しいIT領域や、モード2型アプローチを適用するデジタル・ビジネスではOSSスキルと人材が礎になっていることを認識し、今後の人材不足問題や人材獲得競争に備えるべきだ。

■2022年までに、デジタルやモード2の推進に関して有効な対策を取れないシステム・インテグレーターの80%は、20~30代の優秀な若手エンジニアの離職が深刻な問題となる

 日本のベンダーやシステム・インテグレーター(SI)は、バイモーダルのモード1およびモード2の両方で大きな課題を抱えている。モード1の課題には、クラウドによる将来のSIビジネスの破壊がある。

 一方、モード2の課題には、ユーザー企業が内製化、すなわち「自分で運転」するようになることで、収益増が期待できなくなることや、アジャイルが前提であるため、現場が回らなくなったり、どのような契約を結ぶべきかが非常に難しくなったりすることがある。

 こうした課題は、今後SIはどうやって生き残るかという論点を含む、根の深いものだ。「本物のクラウド」が本格的に浸透し始めたことや、ユーザー企業が「自分で運転」を開始していることから、既存のSIビジネスは10年以内に破壊される可能性が高いと、ガートナーは予測している。これらの課題を解決する取り組みが一向に見られない企業では、優秀な人材ほど早く自社に見切りを付け、離職していく。

■2021年までに、国内のITベンダーから技術者を中途採用するユーザー企業は80%を超える

 ユーザー企業におけるIT部門の位置付けは、デジタル・ビジネスがもたらすインパクトにより、大きく変化している。IT部門は、従来は社内の従業員を対象にITサービスを提供していたのに対し、デジタル・ビジネスを踏まえた取り組みにおいては、自社の顧客やパートナーを巻き込むエコシステムをITによって構築し、サービスを提供するようになる。

 サービスに必要なテクノロジ自体も増えており、モバイル、クラウド、IoT、AI、ロボティクスなどが新たにチャ レンジすべき対象となっている。このようなテクノロジの進化と、デジタル・ビジネスに向けた新たなテクノロジの適用領域の拡大に伴い、IT部門にかかる期待とIT部門が直面するチャレンジもまた大きくなっている。しかしながら、従来の業務に多くの時間や予算を取られ、新たな領域へのチャレンジは困難を極めているのが実状だ。

 ユーザー企業は、デジタル・ビジネスが現実味を帯び始めたこのタイミングで、新たなテクノロジの浸透と、それらを駆使したビジネスへのチャレンジに関して、自らが主導権を取る覚悟を決めなければならない。

 すなわち、自社が関わるITとそれによって提供するサービスの方針、設計、構築、日常的な機能追加や最適化、非常時の対策などについて、主体的に動く体制を確立することが第一となる。

 既存のIT部門の人材を育成するだけでは、これらを実現できない企業が多いと、ガートナーはみている。そのため、これまではベンダーにアウトソースしていた作業の一部を自社で賄えるよう、ベンダーでの経験が豊富な人材を獲得することを推奨する。

 

 ガートナーは4月23~25日、八芳園本館(東京都港区)において「ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション&クラウド戦略コンファレンス 2019」を開催する。コンファレンスでは、「未来志向2030:新たな時代へ」をテーマに、昨今の状況と将来の方向を踏まえ、とるべき戦略、アクションとアドバイスが提示されるという。

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