
開発(Development)と運用(Operations)を合わせた「DevOps」。ガートナーの日本におけるハイプサイクルにおいて、2017年段階で既に過度な期待のピーク期から幻滅期の入り口に位置付けられていた。グローバルでは同時期すでに幻滅期にあった。現在、DevOpsの市場への浸透度には国内外で差があるものの、取り組む企業は日本でも確実に増えている。 今後DevOpsに取り組み成功するにはどのようなアプローチをとれば良いのか。グローバルで先進的にDevOpsに取り組む企業の特長などをガートナー シニアディレクター、アナリストのジョージ・スパッフォード氏に話を訊いた。
変化を求める企業はDevOpsに取り組んでいる
Q: 現状、先進的にDevOpsに取り組んでいる企業はどのような企業でしょうか
スパッフォード氏: 現在DevOpsを採用しているのは、ビジネスに確実性を求めた上で反応を速くしたい企業です。言い換えると、ビジネスには不確実性の要素があり、組織の意思決定を速くしなければならない組織です。小売りや銀行などの大手企業から導入が始まり、ここ最近は中堅、中小規模の企業にも広がりつつあります。もし企業が変化を必要としていなければ、DevOpsは必要ないかもしれません。
Q: DevOpsの導入が上手くいかない組織の特徴はありますか
スパッフォード氏: その企業の中に、変化のための明確なビジネスドライバーがなければDevOpsは上手くいきません。変化することの価値を企業が見据えている必要がある。もう1つDevOpsの導入で重要となるのが、人ですね。技術ではなく人。人が学びビジネスの中で変えたいところを見出さなければいけません。DevOpsがソフトウェアの技術と捉えているようでは、なかなか成功できないでしょう。
Q: DevOpsを企業内で推進・定着させるにはどのような人が必要ですか
スパッフォード氏: DevOpsで成功するには、ビジネスに取り組む態度と姿勢と技術スキルが必要。まずはビジネスに対し真面目に取り組む人が大事ですね。そしてスマートで経験値のあるリーダーシップ、さらにやる気があり、変化することの重要性を十分に理解していなければなりません。DevOpsの取り組みはチームで行います。そのため、チームで物事を進めるのに長けている人であるべきでしょう。IT技術者の中にはこのあたりが得意でない人もいます。
技術的なスキルは、トレーニングで学べば身に付きます。変化に前向きな人は、新たなことを学ぶのにも積極的になります。一方で保守的でシャイな人は、変化に前向きになれずトレーニングで学ぶことも難しいかもしれません。マネージメントは、チームで変化に取り組みやすくする環境作りを意識する必要があります。メンバーは環境に左右されやすいのです。
チームには、リーダーシップがあり正しい方向への変化を推進するリーダーが求められます。大きな方向性を示してそれに向かってメンバーのやる気を引き出し、動かせる人です。そのためには様々な意見にオープンに対応できること、何か誤りがあればそれにもオープンに対応する態度も必要です。何か失敗した時には、責任をとることも重要です。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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