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Adobe Experience Cloudの製品戦略アップデート、新たな2種類のサービスとは?

edited by Operation Online   2020/04/13 07:00

 米アドビシステムズが企業の顧客体験をテーマに開催するカンファレンス「Adobe Summit」。今年の同カンファレンスは全てのセッションをオンデマンド配信で対応した。基調講演では、アドビシステムズ会長兼CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏のビジョンに続き、アニール・チャクラヴァーシー氏(デジタルエクスペリエンス部門担当のエグゼクティブ バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー)がAdobe Experience Cloudの製品戦略について解説した。

3層のアーキテクチャーに変わったAdobe Experience Cloud

 アドビシステムズ(以降、アドビ)が2019年から訴えてきたCXM(Customer Experience Management:顧客体験マネジメント)は、顧客を深く理解することから始まる。だが、そのための仕組みを整備するには多くのツールを連携させなくてはならない。Adobe Experience Platformは、Adobe Experience Cloudのアプリケーションのデータはもちろん、CRM、POS、その他のサードパーティーアプリケーションのデータも含めて集約し、体験を提供できるようにするCXMの中核的基盤である。Experience Platformは、設計段階からプライバシー保護に配慮した「Privacy by Design」に即して開発された製品であり、あらゆるプライバシー規則や規制に準拠した顧客データを利用できることを保証するものであるという。

 今回のSummitでアドビは、CXMのための製品であるAdobe Experience Cloudの製品アーキテクチャーをExperience Platformの上にサービス、その上にアプリケーションを置く構成に再定義したことを表明した。現在の同製品は、図1に示すように「プラットフォーム」「サービス」「アプリケーション」の3つのテクノロジースタックで構成される。

<p>Adobe Experience Cloudの製品アーキテクチャー(出典:アドビシステムズ)</p>

Adobe Experience Cloudの製品アーキテクチャー(出典:アドビシステムズ)

プラットフォームの中核はリアルタイムな顧客プロファイル

 チャクラヴァーシー氏はスタックの一番下のAdobe Experience Platformから説明を始めた。Experience Platformの中核にあるのが、リアルタイムに顧客を理解するためのReal-Time Customer Profileである。顧客プロファイルは顧客体験を提供する際の基礎になるものであり、一人の顧客に関連する様々なデータを見ることができる。ユーザーがアドビのアプリケーションにアクセスしている場合でも、外部のCRMアプリケーションにアクセスしている場合でも、顧客プロファイルはミリ秒単位で最新の状態に更新されるのだという。Real-Time Customer Profileは企業が持つ何百万ものデータポイントをつなぎ合わせ、一人の顧客についての統一ビューを提供する。

 このExperience Platformの新機能として発表されたのは以下の2つであった。

  • Modernized Data Collection
    リアルタイムに顧客体験を提供する際の課題の1つがデータの集約である。Experience Platformでは、新しいSDK(Software Development Kit)と世界規模のデータ収集ネットワークを利用し、イベントレベルのデータをサードパーティーのものを含む任意のアプリケーションにリアルタイムに配信できる。データ収集が簡素化されれば、アプリケーションやWebサイトのパフォーマンスが改善する。

  • Experience Edge
    データを活用する場所に近いところにコンピューティング資源を配備し、中央と連携しつつ処理を実行するエッジコンピューティングは、データ処理を高速化する新しいイノベーションとして期待されている。グローバルに分散した顧客プロファイルの更新、オーディエンスセグメンテーションの決定、ミリ秒単位でのパーソナライズした体験の提供のサポートを行う。

 また、アドビのAIおよび機械学習のフレームワークとして知られるAdobe Senseiは、Experience Platformに組み込まれており、スタックの上にあるアプリケーションとサービスが共通で利用するものとして設計されている。2019年にアドビが全世界で出願した特許400件のうち30%以上がAIと機械学習に特化したものとチャクラヴァーシー氏は胸を張る。信頼性の高い顧客プロファイルと集約されたデータセットがあれば、Adobe Senseiを利用して、顧客についての包括的なインサイトが得られ、そのインサイトをパーソナライズした体験の提供に役立てることができるはずだ。

 さらに「重要なのは、顧客に関するデータを得るためにアドビがオープンなエコシステムを構築していること」とチャクラヴァーシー氏は訴える。例えば、MicrosoftとSAPと共に進めるOpen Data Initiativeは、企業がExperience PlatformからMicrosoft Dynamics 365およびOffice 365、SAP S/4 HANAおよびC/4 HANAのデータにアクセスし、パーソナライズした顧客体験の提供を目指す共同プロジェクトである。そのゴールは、膨大なデータポイントへのリアルタイムなアクセスを通じて、ビジネスがB2CかB2Bかを問わずにCXMを実現することにある。ServiceNowとのパートナーシップも強化している。Real-Time Customer ProfileをServiceNowのCustomer Service Managementと双方向に連携し、パーソナライズした顧客サービスを提供できるようにした。

 この他、パートナーの中には、ソフトウェアベンダーだけでなく、プラットフォームの価値を最大化するためのサポートをする大手コンサルティングファームやSIベンダーも含まれ、様々な側面から企業のCXMをサポートする。

<p>CXMを支えるオープンなエコシステム(出典:アドビシステムズ)</p>

CXMを支えるオープンなエコシステム(出典:アドビシステムズ)

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著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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