EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

テーマ別に探す

財務・経理DXの早期実現を支援したセゾン情報のリンケージサービス、伴走した当事者が語る舞台裏

edited by Operation Online   2020/09/18 11:00

 2020年4月、コロナ禍の中でセゾン情報システムズが完全在宅決算を実現させた。在宅勤務が推奨される現在、財務・経理部門だけは出社して業務を進めている会社が多い中、同社はなぜ迅速に決算までもオンラインで行えたのか? そのプロセスの裏側を、同社のリンケージビジネスユニット リンケージクラウド部 部長の北田博之氏に小社の押久保剛統括編集長が聞いた。

会社全体の目的達成の流れの中で、財務・経理部門のDXも推進

押久保剛(以下、押久保):御社が財務・経理部門のDXをスタートさせたのは2019年10月と伺っています。そこから、2020年4月に完全在宅決算を実現するわけですが、非常に短期間で社内におけるDXの推進が行われたように思えます。

北田博之氏(以下、北田氏):スピード感があったのは、財務・経理部門に限らずDXを推進する土壌ができあがっていたからです。弊社は2016年に経営危機に陥りました。原因の一つは、属人的な業務により情報の透明度が不足していたことでした。そこで属人的な業務を可視化させるため、デジタル化の推進が全社で加速していきました。

 つまり、財務・経理部門のDXが目的ではなく、デジタル化を通じて、オープンで風通しのいい会社へ変えていこうという大きな目的があったのです。財務・経理の業務改革は2017年から始まっていて、DXは目的を達成するための重要なプロセスではありました。

セゾン情報システムズ リンケージビジネスユニット リンケージクラウド部 部長 北田博之氏
セゾン情報システムズ リンケージビジネスユニット リンケージクラウド部 部長 北田博之氏

押久保:北田さんはリンケージサービス(“つなぐ”サービス)の担当として、会社の目的を達成するために財務・経理のDXを推進したわけですが、どのようなご苦労がありましたか?

北田氏:私はずっと開発畑でしたので財務・経理の業務がまったくわかりませんでした。日々、仕事に追われている部署という認識くらいしかなく、プロジェクトを始めるにあたっては、財務・経理のメンバーから業務のレクチャーをしてもらうことから始めました。

押久保:他部署の業務変革を行うにあたり軋轢などはなかったのですか?

北田氏:先ほど申し上げた通り、弊社は変わる必要がありました。その思いを財務・経理のトップも強く感じており、そういったことはありませんでした。2019年10月から始まったプロジェクトは、12月には財務報告業務自動化サービス「BlackLine」の導入が完了し、2020年3月には資金管理ソリューション「Kyriba」の導入も完了しました。

押久保:わずか3ヵ月で導入が終わったのですね。よく決算中心で動く財務・経理部門だと期末決算が終わらないとシステム導入は難しいという話を聞きますが、どのような進め方をされたのですか?

北田氏:短期間で効果を出すために、まずは導入し、その後細かい改善をしていくというスタイルが必要ではないかと考えました。BlackLineやKyribaも一部機能のみで導入できますし、クラウドのサービスですから既存システムに手を入れることなくデータ連携のみで利用可能です。導入後は財務・経理部門がもっとこうやったら効率的なのではないかなどサービスの改善を行っていました。そして、2020年4月には完全在宅決算ができるようにまでなったのです。

業務量3割削減などの定量成果のほかにある、もう一つの「成果」

押久保:かなりのスピード感で、進んでいったのですね。新型コロナウイルスの感染拡大で、各社がリモートを行っていくなか、先んじて導入ができていたという……。導入にあたって当初に設定した目標はありましたか?

北田氏:業務改革をするにあたり、財務・経理には必須と思われてきた紙をなくすこと。そしてデータを自動でつなぐことです。前者はオフィスへの出勤が必須となる働き方を変えるため、後者は単純業務量の削減と決算品質の向上、ミスの防止のために必須でした。

押久保:そして自動化の結果、業務量が3割削減され、年間6400枚に相当する紙の削減が実現できた。

北田氏:定量面はおっしゃる通りです。このほかにも成果があって、今回のプロジェクトでは財務・経理部門と私たちで、どのようにデータをつないでいくかという具体論を話す前に、各業務のフローは本当にこれが適切なのか? というより本質的な議論をしていきました。そうすることで、単純にアナログ業務をデジタルに移行させるのではなく、より効果的で効率的な手法を生み出すことができたのです。

押久保:単なるデジタルへの移行ではなく、デジタル前提の業務改革が行われた。

北田氏:そうです。アナログでやってきた業務をそのままデジタルでやろうとするのではなく、デジタルを基盤とした時に、その業務の目的を達成するためには、どのような手法が最適かをゼロベースで考え直す。これが本質的な意味でのDXではないかと思います。

 財務・経理の業務量も削減できたので、今ではお客様の財務・経理部門のご相談を受ける時は、営業などと一緒に弊社の財務・経理部門が同席してヒアリングや提案するようになりました。

押久保:それはおもしろいですね! 実際に体験されている方だから、説得力もあるでしょう。

北田氏:はい、財務・経理のトップは「稼げる財務・経理を目指す」と話しています(笑)。

DXで求められるデータ連携をノンプログラミングで実現する「DataSpider」

押久保:データ連携には自社のリンケージサービスを活用されていますが、改めてどのようなことができるサービスなのか、サービスの概要や特長を教えてください。

北田氏:データ連携基盤は弊社のデータ連携ツール「DataSpider Servista(以下、DataSpider)」を使っています。これは、システムの接続方法やフォーマットの違いを意識することなく、すばやく簡単にアダプタという機能を使って「つなぐ」ことができるツールです。

 ノンプログラミングで利用できるGUIをもっているので、導入も利用も容易です。企業で利用しているアプリケーションやデータベース、ファイルなど様々なデータをアダプタ機能で相互接続できます。また入出力のフォーマットをカスタマイズできるので、連携は比較的容易ですし、もしアダプタが用意されていないサービスを使っていても、そのサービスに合わせたオリジナルのアダプタを作ることもできるため汎用性は高いです。

セゾン情報システムズの財務・経理部門の改善Before、After。
データ連携基盤として同社のDataSpiderを用いて各サービス間のデータ連携をスムーズに行う
(クリックすると拡大)

押久保:今回導入を行われて、感じたことはありますか?

北田氏:私は20年以上開発を行ってきましたが、IT部門の担当者として感じることはとにかく変化がめまぐるしいこと。計画を組み立てているうちに、その計画の中身が陳腐化してしまう時代です。とにかく短期間でシステムを立ち上げ、早期に改善を回していくことが重要になります。

 そういう意味で、自社でゼロから開発するというのではなく、優秀なサービス群を自社の目標達成のためにどのようにつなげて利用するかという「使いこなし力」がIT部門にも求められているのではないでしょうか。今回のプロジェクトも「まず着手してみよう」と考えてスタートしています。着手して試行錯誤してわかることがあります。そして、その試行錯誤の蓄積やノウハウは、お客様へサービス提案する際の武器にもなると実感しております。

押久保:「使いこなし力」は言い得て妙です。そして、おっしゃるとおりまず自分たちがサービスを使い蓄積した経験やノウハウを、サービスを提案する際の武器にしていく、いわゆるカスタマーゼロの視点をもつことも重要です。一方でサービス開発側はそのサービスがユーザーにいかに使われるかを把握する「使いこなされ力」が必要になってきそうです。本日はありがとうございました。

財務・経理の完全在宅決算を検討されている方におすすめ

現役の財務・経理担当者が具体的にそれらを具体的にどのように実現していったかについて、考慮すべきポイントと共に分かりやすくご紹介する動画を配信しています!

ウェビナー配信はこちらから。

関連リンク

著者プロフィール

  • 中村 祐介(ナカムラ ユウスケ)

    株式会社エヌプラス代表取締役 デジタル領域のビジネス開発とコミュニケーションプランニング、コンサルテーション、メディア開発が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実施も行うほか、一般社団法人おにぎり協会、一般社団法人日本編集部の代表理事として、日本の食や観光に関する事業プランニングやディレクションも行う。

  • 押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

    メディア部門 メディア編集部 部長/統括編集長 兼 EnterpriseZine編集長 1978年生まれ。立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、『MarkeZine(マーケジン)』の立ち上げに参画。2006年5月のサイトオープン以降、MarkeZineの企画・運営を一貫して担当。2011年4月(当時32歳)にMarkeZineの3代目編集長となり、2015年4月からは第2メディア編集部 部長/MarkeZine編集長/マーケティング広報課課長を兼任。2019年4月よりメディア部門 メディア編集部 部長/統括編集長に就任。9月よりEnterpriseZine編集長も兼任。各メディア編集長と連携し、翔泳社が運営する全メディアの価値向上を図っている。

All contents copyright © 2007-2020 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5