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沢渡あまね☓ワークフロー総研 対談#02:ポストコロナ時代のIT部門はITサービスマイスターになれ


情報システム部門はITサービスアーキテクトやITサービスマイスターになれ

ワークフロー総研 所長 岡本康広/沢渡あまね氏
ワークフロー総研 所長 岡本康広/沢渡あまね氏

岡本:ポストコロナ時代における働き方改革について話題を移そうと思います。

沢渡:いかに不確実性と向き合うか、そのためにいかにコラボレーションできるかだと思います。新型ウィルス、巨大化する自然災害、サイバーテロ、未知の脅威にマネジメントはいかに向き合うか。向き合うといっても戦うとは限りません。逃げるのもありですし、外部と解決策を模索するのもあります。今までにない働き方にチャレンジすることで難局を乗り切る、または次を目指すことができると思います。

岡本:私自身もそうならないといけないと感じています。

沢渡:かつて企業は自前主義でした。しかし今ではトヨタがソフトバンクや他業種とつながり、新しいサービスを生むことにチャレンジしています。

岡本:自前主義を人材で考えると、かつては社員になるかならないかでした。優秀な人は引く手あまたですから、1割や2割でも手を借りてコラボレーションできるほうがいいかもしれません。自前主義にこだわると人材獲得競争にもついていけなくなると思います。

沢渡:地方自治体でも副業や兼任を認めたりしていますからね。業界や職種によらずオープンな仕事のやりかたを取り入れていく必要があると考えています。

岡本:DXは前から言われていましたが、コロナ禍で事業活動が継続できるかできないかが現実問題となり、DXを進めないと将来商売できなくなることが実感できたのではないかと思います。

沢渡:仰る通りです。ただしDXとは、デジタル化するだけとは限りません。デジタルならではのビジネスモデル、データ分析で新たな出会いやインサイトを導き出すことも大事です。デジタルな世界に身を置き、デジタルにシフトするという発想で臨んでほしいと思います。DXが目的になると「DXごっこ」になってしまいますので。

岡本:今日はバックオフィス部門がデジタルをどう使い、変わっていかなくてはならないかを話してきました。情報システム部門が心がけることでポイントを挙げるとしたら?

沢渡:3つあります。1つめは、情報システム部門が主体となり業務部門、すなわちシステムを利用する社内ユーザーのリテラシーをあげていくこと。たとえば、新たなITシステムを導入する時、説明会/ハンズオン/相談会をおこなうなどして、ITシステムの理解や活用を促進する。ベンダーがユーザーサポートプログラムやオンラインヘルプを提供している場合もありますから、それらを利用するのも良いでしょう。あるいは、ITに強い外部講師を招いて、社員のITリテラシーをあげる講演会などを開くのも良いかもしれないですね。社員の知識向上につながるのであれば、人事部門などの協力も得られるでしょう。

 ユーザーのリテラシー向上は、情報システム部門を「守る」意味も大きいです。ユーザーのリテラシーがあがれば、問い合わせやユーザーサポートの依頼も減りますから。その分、情報システム部門のスタッフは新たなシステムを構想したり、新たなテクノロジーを研究したり、試してみたりと、より付加価値の高い業務にシフトできます。もちろん、問い合わせ対応などに掛かる社内のコミュニケーションコストも下がります。

 2つ目は、社内システムを、最新のユーザーフレンドリーなものに置き換えていく。

 日本の組織は、長らく「基幹システム」の呪縛から離れられずにいた。10年も20年も前に作られた業務プロセスに最適化された、古いインターフェースの基幹システムや、ERPのような巨大戦艦に依存し続け、「ITコスト削減」の名の下に刷新もせずにだましだまし機能を付け加えてきた。当然、使い勝手も悪く、最近ではむしろ個人で利用するスマートフォンのインターフェースやアプリケーションのほうが直感的に操作出来て、分かりやすかったりするわけです。

 最近では、使い勝手の良いクラウドサービスも増えてきています。ITがニガテなユーザーでも直感的に操作できる。社内システムをそのようなオープンなインターフェース、クラウドベースのオープンなテクノロジーに順次載せ替えていく、あるいは部門単位で「小さなクラウドベースのシステム」を取り入れていく。その発想も大事ではないでしょうか。ユーザーのITリテラシー向上にも寄与します。

 そして3つ目。情報システム部門は自分たちがやっている仕事を正しく言語化してください。例えば、問い合わせ対応やトラブル対応なども、どれだけ発生して、調査や対応にどれだけの時間がかかって、誰がどのように困っているのか言語化しないことには、いつまでたっても部門長にも経営層にも顧客にも理解されません。その結果、情報システム部門が「どこで何をやっているのかわからない人たち」になってしまう。

 自らの価値を貶め、予算をつけてもらえない、協力してもらえない、良い人材が集まらない……と負のスパイラルです。WebサイトやWebアプリケーションの開発や構築など、いわゆるフロントエンドの仕事は見えやすいのですが、インフラ(サーバやネットワークなど)のようなバックエンドはなかなか見えにくいですね。試験環境の維持など、フロントからは見えにくい仕事もたくさんあります。

 特にインフラの運用維持業務はこれからますます重要になるでしょう。

 たとえば、いまテレワークを取り入れる企業が急増しています。テレワークを安定稼働させるには、ネット―ワークをはじめとするインフラの拡充がマスト。しかし、インフラエンジニアの頑張りに思いを馳せることのできるユーザーがどれだけいるでしょうか?
ともすれば「つながらない」「通信が途切れる」などのイライラを募らせ、「だからウチの情報システム部門は使えない!」と罵詈雑言を浴びせる。そうではなく、この機会にITインフラを守っている情報システム部門と、ITインフラエンジニアに感謝してほしいし、正しく投資をして欲しいと思います。

 コロナ禍で、医療現場に感謝するムーブメントが高まっています。それ自体大変すばらしいことですが、一方で私たちのITインフラを守ってくれている、ITインフラエンジニアに感謝する人がどれだけいるでしょうか? 私は不公平感すら感じます。私たちがテレワークで仕事をできているのは、見えないITインフラエンジニアの頑張りのおかげです。

 そして、これからの時代においては、道路インフラ、鉄道インフラなど「見える物理インフラ」のみならず、ITネットワークインフラ維持や拡充にも企業として、いや国として正しく投資をしないと。そこで働く人たちが正しく評価され、リスペクトされる制度やカルチャーを醸成していかないと、ますます成り手がいなくなります。そのためにも、まずは情報システム部門の現場の人たちが、自分たちの仕事を正しく言語化し、市民権を得ていくムーブメントが大事なのです。

 今のような時代の変わり目、すなわち過度期はチャンスです。

 ITインフラやネットワークに投資してください、ネットワークエンジニアを育成し待遇改善をして増やしてください、もちろん、ITシステムやネットワークを使う利用者側のリテラシーもあげてください。その総合的なムーブメントが大事です。

 一方で、ITインフラの維持運用がしやすい仕組みを取り入れるのも重要ですね。たとえば、サーバーレスアーキテクチャなど、現場の担当者のメンテナンスの労力を軽減する(ゼロにはなりませんが)テクノロジーの導入にも組織として投資してほしいです。

岡本:そうですね。情報システム部門はもっと価値を出せるように、サーバーレスを進めるなど最新鋭化を進めるといいと思います。

沢渡:情報システム部門はITサービスアーキテクトやITサービスマイスターのような立場にシフトしていく必要があります。サービスを組み合わせることで経営に価値を出していけるように。現場のデジタルシフトに力を発揮していくといいと思います。

この記事に関連する沢渡あまねの著書

沢渡あまねの著書
  • ざんねんなオフィス図鑑 (沢渡 あまね, ワークフロー総研 著:C&R研究所)Amazon

  • 仕事ごっこ(沢渡あまね 著:技術評論社)Amazon

  • ストーリーで学ぶアジャイルな組織のつくり方 ここはウォーターフォール市、アジャイル町(沢渡 あまね、 新井 剛 著:翔泳社) 【近刊】 翔泳社のサイト

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加山 恵美(カヤマ エミ)

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