nCinoの独自性を示す4つの特徴
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、あらゆる業種業態の組織にとって喫緊の課題であり、日本の金融機関にもこれまで以上のスピードで変革に取り組むことが求められている。最初に登壇した日本法人代表の野村逸紀氏(nCino株式会社 代表取締役社長)は、基調講演のテーマに据えた「銀行体験の最適化」について、「日本の金融機関には、お客様と行員の両方から選ばれる存在になるべき」という信念を込めたと語る。DXは短期間で実現しようとしてもできるものではない。長期間にわたる日本の金融機関との伴走が可能な体制を整備するべく、nCinoでは日本市場向けに製品のローカライズや販売体制の強化を進めてきたという。
日本進出にあたっては、日本の金融サービス市場の特性や文化の違いを理解したサポートを行うため、同社はジャパン・クラウド・コンピューティング(JAPAN CLOUD)との合弁会社を設立するという形を採った。JAPAN CLOUDからの出資を受けることで、Go to Market戦略からマーケティング、セールス、カスタマーサポート、広報、人事に至る様々なサポートを得ることになる。JAPAN CLOUDも最低でも8年間の投資を約束している。nCino CEOのPierre Naudé氏は、「今後も国際展開戦略の一環として日本での成長に向けて投資を続けていく」と日本市場への長期コミットを明言した。
そのnCinoが提供するのは金融機関のフロントオフィスからミドルオフィス、バックオフィスに至る業務プロセスをエンドツーエンドで自動化する製品である。野村氏はnCinoのユニークな特徴として以下の4点を指摘した。
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nCinoが銀行にルーツを持つ会社である
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Salesforce Force.com上で開発されたSaaSである
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完全なクラウドモデルで製品を提供している
- 機能の網羅性が高い
この4つはいずれもnCinoにとって重要な差別化要因であり、金融機関の業務に関する深い専門知識に裏付けられた機能開発の基礎となっている。nCinoの前身は、実は米ノースカロライナ州のLiveOak銀行だ。同行で法人融資のために開発した社内システムが優れていたため、その事業をスピンアウトし、nCinoとして2011年に独立したのが現在に至るスタートラインだという。現在はグローバル大手行含む約1,200行の金融機関(10カ国語圏)がnCinoを利用中だ。2020年7月には米国NASDAQ市場への株式公開も果たした。
また、Salesforceと同じプラットフォームで開発されているため、他のアプリケーションとの連携も可能だ。そして、クラウドモデルを採用しているため、金融機関が導入に踏み切る時はスモールスタートを選択できる。さらにモバイルデバイスにも対応しているため、時や場所を選ばずに手続きを進めることができる。