DXは自律的な最適化モデルへの転換
最近はデジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が頻繁に使われています。ではDXとは何か? 企業におけるDXとは、この加速するデジタル・ディスラプションの波に対して、自律的に最適化し続けるモデルへ転換していくことです。ここから先のデジタル化は終点ではなく、今後も加速し続けます。
今までの制約から解き放たれて、新しい形に変わらなければなりません。DXの核心は、固定観念や既存の制約からの突破であり、その本質は、世代交代であると思います。ここ30年間、日本企業は本質的な世代交代をしていません。社内でだけ人を育て、その人がリーダーになるのであれば本質的な世代交代とは言えません。今ありとあらゆるものが世代交代しようとしています。さらに新型コロナ感染症で加速しています。世代交代をしていけば必ず革新が起きます。多くの企業は永遠を目指してつくられています。社会の中で長く貢献したいという創業者の強い思いですが、強固になるほど、形だけを残して死に絶える可能性があります。
しかし、日本には良い例があります。それは伊勢神宮です。伊勢神宮は千年経っても生き続けている組織です。生き続けている組織がしていることは「式年遷宮」です。これは20年に一度、内宮、外宮を完全に作り変えるというものです。永遠に生きるために必要なプロセスの中に「終わり」「死」が組み込まれています。だからこそ永続していく。永遠を目指せば必ず世代交代をしなければならないという例です。
未来のかたちを考える
未来がどういう風に実現するかを近い将来から考えてみましょう。
2020年からVirgin Galacticは宇宙飛行を商用サービスとして始めています。6人が乗ることができて、一席2,600万円程度です。
SpaceX社は今、衛星軌道上に現在で700機以上の衛星を打ち上げています。今後十数年に何万機という衛星が地球上を覆い尽くすようになり、世界中がハイスピードインターネットで覆われるようになります。/p>
農業生産が本格的に工業化していくのはおよそ5年後と言われています。また海洋資源も養殖の工業化などが進められています。
空飛ぶタクシーの実現も、今後5年から10年の間と言われています。実用化について国交省、経産省は東京上空で2023年には飛べるようにすると公約しています。
脳とネットが直接、繋がるのは2030年代の後半と言われています。イーロン・マスク氏は、脳インターフェイス「Neuralink」というものを使って、脳の中にセンサーを入れて、直接データをやり取りするような実験を、人間を使って始めると言っています。
スーパーハイテクシティの登場は20年後と言われています。トヨタが「Woven City」(実証都市)を静岡県内に建設すると発表しました。すでに中国やインドでは新しい都市が100以上作られています。そこで新たな実験が次から次へと行われています。
これらの未来像はシンギュラリティユニバーシティの「未来への道のり」にまとめられています。ここから先の10年、20年の間に劇的な変化が私たちのもとに訪れます。また2020年の5月に経団連が『Digital Transformation(DX) ―価値の協創で未来をひらく-』というレポートを出しています。