テレワーク推進やSaaS利用を背景に存在感を増すタニウム
タニウムは、ラップトップやサーバー、クラウドなど、あらゆるエンドポイントを管理して保護するサイバーセキュリティ製品を提供する企業。従来のサイバーセキュリティは、データセンタやオフィス内ネットワークなどの境界線を防御する考え方であったが、ITリソースが分散・点在化する現在においては、境界防御に依存しない高度なエンドポイントセキュリティの需要が高まっており、タニウムはこれに応えている。タニウムを導入することで、組織のエンドポイントのさまざまな状態をリアルタイムに可視化し、OS・アプリケーションの設定や脆弱性の有無を日常的に評価し、必要に応じてパッチやアップデートを適用できる。これらを徹底することで企業のセキュリティインシデントの多くを未然に防ぐことができる。これは、「サイバー衛生管理」と言われるアプローチで、タニウムは2014年の日本法人設立以来一貫して日本の顧客に提供してきている。
今回取材した2人のエンジニアは、前職までのスキルを活かし、エンドポイントセキュリティという新たなフィールドにチャレンジした。小林氏は、国内SI企業から外資系のCDN提供企業を経て2020年にタニウムに入社。金融系や公共系の顧客に対するテクニカルアカウントマネージャーとして、PoCやアセスメントから導入・運用までの技術的サポートを担当している。
2021年5月に入社したばかりの栗田氏は、これまで20年間、主にネットワークエンジニアとして活躍してきた。前職で小林氏と同様に外資系企業に勤務しており、小林氏の誘いもあってタニウムへ入社。タニウム製品を利用する顧客に対し、導入・運用を支援するエンタープライズサービスエンジニア(ESE)として必要なトレーニングを受け、現在では顧客のサポートを開始している。
タニウムの強みについて小林氏は、単一のプラットフォームで多数のエンドポイントからリアルタイムに情報を取得し、顧客が必要とする幅広いユースケースに対応した可視化と制御ができる点を挙げた。多くの顧客がタニウムを「パッチ管理」「脆弱性管理」「EDR」など複数のユースケースで利用しており、これらを単一のエージェントとコンソールで一元的に管理している。このため、エンジニアとしてさまざまな知識に基づいた発想から顧客の課題解決ができる。「競合の製品と違って、リアルタイムに情報を見られるのがタニウム製品の面白いところです。テレワークなどが増えた最近では、ゼロトラストセキュリティへのアプローチの一環として、リアルタイムにエンドポイントの状況を把握し適切に管理するといったニーズがより高まっています」と小林氏は述べた。
さらに、タニウムには、ネットワークへの負荷を最小限にとどめながら大容量のファイルを効率よく配信できるという特長がある。従来から、大容量ファイルを必要とするOSのアップデートやパッチ適用の際に大きなメリットとなってきたが、テレワークの普及ではこの特長もより高く評価されている。例えば、企業ネットワークに社外からアクセスする際に一般的にVPN接続が利用されるが、テレワークが増えて多くのユーザーがアクセスした場合にVPN機器の性能の問題で十分なパフォーマンスが出ない場合がある。Taniumの効率的なファイル配信では、このようなネットワーク帯域の制限された環境でも適切なパッチ管理を実現できる。SaaS利用などの際にも、エンドポイントの状態に応じたセキュリティの管理ができるタニウム製品には強い需要があるという。
栗田氏がタニウムの業務に興味を持ったのも、企業のIT環境の変化によるものが多い。「ネットワークエンジニアとして、お客様との対話の中でセキュリティに関する課題を以前に増して聞くようになりました。昨今の状況からファイアウォールやIDS/IPSに代表されるネットワーク・セキュリティだけでは、お客様の資産やデータを確実に守ることは難しいと実感していました。今後、重要となるのは、お客様のエンドポイントを適切に管理できるソリューションだろうと考えたのが、入社を決めた一つの要因です」と栗田氏は入社の動機を語った。
国境を越えたメンバーと「One Team One Fight」の精神で課題解決
注目を集めるタニウムにおいて、エンジニアにはどのような役割が求められるのだろうか。小林氏が入社した頃は、日本法人も小規模なこともあり、技術系の職種は、TAM(テクニカルアカウントマネージャー)だけであった。小林氏は「TAMがPoCのフォローもすれば、導入後のサポートも担当します。当時はあくまでも技術的なアドバイザーであり、実際に設定変更するなどお客様の環境を直接操作しないというポリシーがありました。しかし、現在では栗田のように、お客様の環境を操作しながらサポートする役割もできてきています」と説明した。需要の高まりに応えるべく、エンジニアの役割や人数も増えており、タニウムの技術職では提案から導入、運用までを幅広くサポートし、顧客のトラステッドアドバイザーとしての役割を果たすための幅広い職種が設けられている。
多様な職種が設けられているタニウムではあるが、顧客の成功のためにチームで一丸となって取り組もうという文化がある。「弊社では、『1T1F – One Team One Fight』という言葉を掲げています。同じようなコンセプトの企業もありますが、実現はなかなか難しいものです。しかし、タニウムの1T1Fはすごいです。それぞれの知見を誰もが積極的に共有を行っています。業務のなかで困ったことがあればSlackで相談をしてみると、職種に関係なくさまざまなアドバイスを貰うことができます。皆が近い距離感で働いていて非常に頼りがいがあります」(小林氏)
この文化はグローバル全体に浸透しており、プロダクトへのフィードバックについてもしっかりと受け止める体制が整えられている。小林氏は「トラブルがあったときや、お客様からの機能改善要望が上がってきたら、米国本社のプロダクトマネジメントチームに気軽にリクエストを投げかけることができ、それらにもしっかりと対応をしてもらえます」と語った。
コロナ禍において転職をした栗田氏は不安はなかったのだろうか。栗田氏は「タニウムでは『Tanium Technical University』というプログラムに沿った2カ月間のトレーニングがあり、入社直後より始まります。各分野の専門知識を持った先輩社員がトレーニングの講師として実施いただけるため、技術の習得はもちろん、多くの人との関係性を築くこともできます。上司やメンターとの1on1ミーティングを頻繁に設けていただき、不安な点や気になる点は気軽に相談ができました。手厚いトレーニングが用意されているので、いきなり放り出されることはなく安心です」と、充実した研修について語った。
グローバル企業だけに、英語のスキルも求められるイメージだ。日本語の資料も充実しているが英語の資料に当たることも多い。栗田氏は英語に苦手意識があったが、研修期間に多くの英語の資料に触れることである程度慣れてきたという。小林氏も、日系企業に在籍中は英語が苦手だった。当時、アワードで海外に招待され、英語でのトレーニングセッションに全くついていけずに苦い思いをした経験を持つ。その後、外資系企業に飛び込んで毎日英語のコミュニケーションに触れるうち、力をつけていった。「飛び込んでみると案外できるものです。最初は自己紹介もろくにできませんでしたが、今ではお客様との英語での会議のファシリテーションも、何とかこなせるようになりました」(小林氏)