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ずさんなExcel管理が引き起こす「プロジェクト収支の悲劇」……どんぶり勘定にならない唯一の解決策

人件費に旅費交通費など、Excel頼みはもう限界! 複雑化する管理業務を効率化するには

社内の独自フォーマットにも対応する「セミオーダー型」に注目

 その専用ツールの選択肢の一つとして、ビーブレイクシステムズは2005年から「MA-EYES」を提供している。MA-EYESは、プロジェクト収支管理に強みを持つセミオーダー型のERP製品だ。同製品は、プロジェクト単位で予定収益と原価を登録し、各プロジェクトの日々のタスク進捗に応じた実績データを元に、精度の高い予実管理を行えるようにしている。また、「プロジェクト収支管理」の他、プロジェクト開始前の「営業支援システム(SFA)」、プロジェクト実行中の「作業実績・勤怠」「購買・経費」、プロジェクト完了後の「入金管理」「支払管理」などの機能群を連携させ、前後のプロセスのデータを統合的に管理できるようにもしている。

 これまでMA-EYESは、カスタマイズ要望に対応する「一括(買い取り型)」と、標準機能の提供に絞った「SaaS(月額利用型)」の2つのライセンス形態で製品を提供してきた。一括型の場合、初期導入に時間と費用がかかるが、従業員数が導入後に激増したとしても料金の変動はないメリットがある。そのため、一括型は主に従業員数100人以上の企業からの支持を集めてきた。もう一つのSaaS型は、標準機能の利用にしぼることで比較的迅速な導入を可能にしている。たとえば、IPOを視野に入れたスタートアップのように、比較的規模の小さい発展途上の企業にとっては、費用を抑えた利用ができるメリットがある。

 この2つの良いところどりができるよう、2023年2月から新たに提供を始めたライセンス形態が「SaaS+」だ。迅速な導入と価格のメリットは魅力的だが、プロジェクト収支管理ツールの価値をさらに引き出すには、カスタマイズが望ましい場合も多い。堀井氏は「お客様からの要望で多いのは、プロジェクト収支の可視化に必要なデータを集約し、所定の帳票や画面に出力するものです」と説明する。大企業の場合、経営会議で使うレポートの分析軸やフォーマットは、既に定型書式が存在することも少なくない。堀井氏も「分析の切り口には、部門別、顧客の業種別、プロジェクトの種類別など、各社の“独自性”が反映されます」と話す。

画像を説明するテキストなくても可

 この独自性とは、各社がどんな経営管理をしたいのかという管理会計ニーズに該当する。企業のシステム環境によって、稼働開始までの準備に半年から1年を要するが、管理会計の視点で自社の経営が必要とする可視化を実現できるのであれば、企業規模に関係なくカスタマイズを行う意義はあるはずだ。

 さらに、既存の「SaaS(月額利用型)」との違いに月額利用料金が固定という点もある。堀井氏は「一般的にSaaSは一人当たり、もしくは機能当たりの単価で、利用規模に比例して料金が増えてくることが多いです。しかし『SaaS+』は、使う機能範囲やカスタマイズ内容によって月額料金をあらかじめ算出して固定で提供しているため、利用人数によって変わることありません」と強調した。

 こうした特長をもつ「SaaS+」であれば、これまで一括型の選択ができなかった企業でも、SaaS型の良いところも取り入れ、自社に最適な管理会計の仕組みを構築できると、ビーブレイクシステムズは考えたという。

プロジェクト収支から意思決定までを迅速に

 MA-EYESでプロジェクト収支管理を行っている会社の例を挙げてみよう。たとえば、プロジェクト原価管理だ。この会社では、標準原価(プロジェクトメンバー1時間あたりの原価)ベースで予算計画を作成し、月締めのタイミングで実際原価(実際に発生した原価の総額)のデータと突合させ、予実差異の分析を行っている。

 差異が生じる原因は様々だ。スケジュール遅延で追加のメンバー投入があったのかもしれないし、中間成果物の品質が顧客の要求する水準を満たさず手直しが発生したのかもしれない。いずれにせよ、プロジェクトの収支状況を早く把握することが、迅速に対策を講じることにつながる。

 予算は標準原価ベースなのに、実績が実際原価でいいのかと考える場合は、標準原価を改訂して揃えるように運用してもよい。さらに、給与計算のデータを取り込み、財務会計と管理会計を一致させる運用にしてもよい。すべてはその会社がどんな経営管理を行いたいかだ。報告のための財務会計とは異なり、管理会計は内部管理のためのものなので、その仕組みは百社百様になる。

 現場の営業やプロジェクトマネージャーの入力は最低限必要だが、専用のツールを導入すれば、Excelで行う場合と比べて大きな省力化が実現できる。また、MA-EYESは2023年10月から始まるインボイス制度など最近の法改正にも対応している。「私たちは製品開発に力を入れている会社です。お客様からのフィードバックを製品の標準機能として実装することを進めていきます」と堀井氏。

 プロジェクト収支管理システムは、単なる予実管理の仕組みではなく、意思決定に役立つ情報を提供するものでなくてはならない。今後もビーブレイクシステムズはMA-EYESの提供を通して、プロジェクト単位でビジネスを行う企業の経営管理高度化をサポートする。

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