Box Japanは5月18日に、事業戦略に関する記者説明会を行い、ChatGPTのAPIをコンテンツクラウドに統合した「Box AI」の概要を発表した。OpenAI社の「LLM」(大規模言語モデル)をBoxに統合することで、Box上にあるコンテンツを理解し、新たなコンテンツを作成することが可能となる。
Box,Inc.共同創業者兼 CEO Aaron Levie(アーロン・レヴィ)氏は、会見にオンラインで参加し、以下のように述べた。
「企業が保有するコンテンツは営業、マーケティング、法務、人事などに関わる非構造化データです。これまで細分化されて存在していたこれらのデータを、コンテンツクラウドに集約することで、セキュリティ、コンプライアンス、コラボレーションやワークフローの自動化が実現し、さらに大規模言語モデル(LLM)によるAIを組み合わせることで、外部のデータだけでなく、企業が保有する独自のコンテンツを理解して従業員の質問に答えたり、文書を生成してくれるのです。これは革命的なことです」(アーロン・レヴィ氏)
ChatGPTを組み込んだ「Box AI」のようなユースケースとしては、以下のようなものがある。
企業が蓄積したドキュメント、スプレッドシート、PDFをBOXに格納することで、ドキュメントに関する質問をしたり、内容を要約する。営業部門の契約書の疑問への回答、アナリストの格付けの推奨、法務部門の契約書のレビュー、カスタマーサービス部門の顧客インサイトの抽出などが可能になる。
また生産性の面では、 資料作成や、調査資料、マーケティングコンテンツの作成などの効率が格段に向上し、業務効率を高めることができる。こうしたコンテンツの要約や生成を、BOXの優位性であるコンプライアンスやセキュリティを生かした仕組みとして実現できる。
Box Japan代表取締役社長 古市克典氏は、こう付け加えた。
「これまで我々は日本語の資料を中心に仕事をしてきましたが、これからは英語だけでなく、すべての言語で書かれたアセットが私たちの業務を支えてくれるようになります」(古市社長)
さらに、古市社長は、2022年2月から1月末までのBox Japanの業績にも触れ、ARR(年間受注額)が創業以来9年連続成⻑していることや、FY22の⽇本郵政、キヤノンに続き、FY23は三菱重⼯、スズキ、アイシンなどの⼤型受注が生まれたことを発表した。「Box全世界売上は約10億ドルでそのうち⽇本⽐率は19%ある。これだけ日本の高い比率を公表している企業は他にはありません」と胸を張った。
続いて登壇した専務執行役員 佐藤範之氏は、日本市場での実績を紹介。今後日本市場でのパートナー戦略にも力を入れ、「Box AI」のテクノロジーによって、これまで米国に比べると弱かった公共や金融分野の開拓を目指すと語った。